今回お話しするのは、日本大学の石岡丈昇さんです。今年5月に刊行の『タイミングの社会学──ディテールを書くエスノグラフィー』(青土社)では、マニラの貧困世界(ボクシング・キャンプ、都心のスクオッター地区、人里離れた再居住地)において生きられる「時間」が考察され、話題となっています。フィールドワークに基づいた『ローカルボクサーと貧困世界──マニラのボクシングジムにみる身体文化』(2012年、世界思想社、第12回日本社会学会奨励賞。2023年末に増補新版が刊行予定)以来の石岡さんの「調査する人生」を聞きます。 「咬ませ犬」ボクサーに話を聞く 岸 本日は、社会学のなかでも気鋭のフィールドワーカーである、石岡丈昇さんとお話しします。 石岡 石岡です。フィリピンの研究をしています。岸さんとは院生の頃からの知り合いです。20年以上前、大阪で貧困や差別を調査する「A研」という研究会があり、ぼく自身は関東に