リック・ダルトン、時代に取り残されたテレビスター 天変地異の音が響くほどだったかも知れない。その音を心地よいとするか、不気味とするか、当時はまだ分からなかったらしい。1960年代後半のハリウッドでは、文化的な地殻がうごめいていた。 「その背景には、50年代にテレビが登場したということがあります。」タランティーノは解説する。「それまでは映画や舞台、ラジオでしたが、新しいスターたちがテレビから登場していきました。ただし、時代が50年代から60年代の過度期にさしかかるとき、この新たなスターたちはどうなるのか。そういったことはまだ見えていない、そんな時代だったんです。」 天変地異とは言い過ぎだろうか?いや、タランティーノがそう言い表している。「彼にとっては天変地異が起きているようなものでした。」その”彼”こそ、この映画の主人公のひとりである、リック・ダルトンである。 レオナルド・ディカプリオが演じ