1945年に太平洋戦争が日本の敗戦で終わってから、2015年は70周年という節目の年である。 70年前の鉄道にはもちろん新幹線はなく、電化区間は大都市近郊か急勾配区間に限られており、今日の鉄道輸送の圧倒的主役である電車も、その頃としてはむしろ珍しい存在であった。長距離列車の大半は蒸気機関車が牽引していた。 戦災から復興し、輸送力増強と高速化に追われた高度経済成長時代を経て、日本の鉄道は大きく変貌した。その過程で、戦争を経験した1945年以前の鉄道車両、施設は時代に合わないものとして次々に姿を消し、もはやほとんど残っていない。 しかし、やはり戦争の悲惨さや、二度と起こしてはならないという反省を後世に伝えるため、鉄道の世界においても、70年前を知る車両などが保存されている例がある。また、戦争の記憶を伝える鉄道風景が、意図的にではなく、自然と残っているところ。あるいは、人々によって記憶が受け継が