2019年3月15日、ニュージーランド・クライストチャーチでイラスラム教モスクが襲撃された銃乱射事件の一報を受け、ジャーナリストのパトリック・ガウワー(48)は首都ウェリントンから飛行機でクライストチャーチに飛んだ。 夕方には現場のモスク前でリポートに臨んだガウワーは、その日からクライストチャーチでイスラム教徒への取材を重ね、21年8月、一本のドキュメンタリー作品として放映した。 タイトルは『ON HATE』(ヘイトについて)。犠牲者の遺族や事件の生存者ら7人へのインタビューを中心とした1時間の番組だった。その中に、ガウワーが自身の責任と向き合うシーンがある。 事件の約1年前、カナダの著名な白人至上主義者、ステファン・モリノーら2人が、講演のためにニュージーランドを訪れた。激しい抗議活動で講演は中止され、ガウワーは批判の意味を込めて2人にインタビューを敢行した。だが結果としてガウワーの報道