小型レーダー衛星が撮影した北海道函館市の観光名所「五稜郭公園」(QPS研究所提供)民生と安全保障の両面で宇宙空間の利用が進み、国際競争が激しさを増す中、わが国が優位性を持つ分野の1つに夜間や悪天候でも地表を撮影できる小型レーダー衛星がある。技術的な難しさから、画像取得に成功した企業は世界に5社しかないとされ、うち2社を日本のQPS研究所(福岡市)とシンスペクティブ(東京都)が占める。低コストで、多数を打ち上げれば撮影間隔が短くなり、災害発生時の迅速な状況把握や車両、船舶の追跡などに役立つため、政府も支援に本腰を入れる。 独自技術で課題克服小型レーダー衛星は「SAR」と呼ばれる合成開口レーダーの技術を用いる。これは衛星から電磁波の一種であるマイクロ波を地表に向けて放ち、陸地や海面などからの反射波を受け取って画像化する手法だ。反射波が強いほど白く、弱いほど黒くなり、例えば海面は黒っぽく写る。