▼人生には三つの坂がある。上り坂に下り坂、そして「まさか」。順風満帆な時があれば、思いも寄らない事態に遭遇することも。ある大学駅伝部の監督は人生を「箱根の山」に例えた ▼2日に号砲が鳴る東京箱根間往復大学駅伝は第100回大会の節目を迎える。長い歴史の中で、数々のドラマが生まれた。圧倒的な優勝や大逆転があれば、途中棄権という「まさか」に見舞われたチームもある ▼その一つが2008年の順天堂大だ。前橋市出身の小野裕幸さんが山上りの5区を走り、往路のゴールまで残り500メートルで無念のリタイアとなった。前年の総合優勝チーム、しかも「山の神」として知られる先輩の今井正人さんから5区を引き継いだ重圧は計り知れないものがあっただろう ▼翌年は主将として再び5区を任され区間2位。卒業後は日清食品グループに入社し、1年目にして元日の上州路を走るニューイヤー駅伝で優勝のゴールテープを切った ▼今年4月から母