2024年5月に文学通信より刊行された筆者の初単著『麻雀漫画50年史』は、タイトル通り、専門誌『近代麻雀』(竹書房)が刊行され続けているなど日陰者気味ながら日本の漫画シーンの中で独特の地位を築いている「麻雀漫画」というジャンルについて、その発祥から現在までの歴史をまとめたものとなります。 この原稿を読んでいる方の多くは、麻雀漫画というジャンルについて、『ぎゅわんぶらあ 自己中心派』『哭きの竜』『アカギ』『咲-Saki-』などといった一部の有名作品については 読んだことがあるか名前を聞いたことがあるかはあっても、ジャンルの全貌についてはあまり ご存知ないことでしょう。 「読み捨て」的な要素が強い大衆娯楽ジャンルであることから評論などの場で取り上げられることは少なく、作家や作品、専門誌の数々はかなりが忘れ去られているためです。 例えば80年代の一時期は、竹書房以外にも徳間書店、芳文社、双葉社、