作者不詳「幽霊図」(角匠蔵)「表具のところにまで絵が描かれた、描表装の作品。口元に血が滴っているように判子が押してあるんですが、どう拡大しても読めないのが気持ち悪い。それとこの作者は髪の毛フェチぶりがすごいんです。ものすごく細い線で髪の毛を描いているので、じっくり見てください」(安村敏信) 日本人が「死んだ人がよみがえる」ということを物語に書き始めたのは平安時代のことです。『日本霊異記』という仏教説話集には、人に殺されて野ざらしになった髑髏を供養した者が、髑髏が変身した人物に恩を返されるという話などが収められています。 まさに日本人が幽霊を意識し始めた現れだと思うのですが、これらの話は実は中国にルーツがあるもの。平安時代後期に書かれた『今昔物語』の中の源融(みなもとのとおる)という人物の幽霊が、日本独自の幽霊の始まりではないかと幽霊研究者は言っています。 幽霊が絵画の中に登場するのは、鎌倉