核兵器使用の脅威が現実味を増す中、広島と長崎は77年目の「原爆の日」を迎える。 ウクライナに侵攻したロシアは核の威嚇を繰り返し、対抗する米欧保有国との緊張を高めている。 一方、核兵器を違法化した核兵器禁止条約の締約国会議が6月に初めて開かれた。7年ぶりの核拡散防止条約(NPT)再検討会議は米ニューヨークで開催中だ。 核の使用を阻止し、廃絶を目指す取り組みは重要性を増している。改めて核の脅しを非難し、唯一の戦争被爆国としての役割と行動を考え直す機会としたい。 松井一実広島市長はきょう、平和記念式典で、核抑止論の拡大を批判し、「核兵器のない世界の実現に向け、あらゆる努力をすべき時」と訴える。 グテレス国連事務総長は初出席する式典に先立ち、「核の使用は決して容認できないと、核保有国に要求するのに日本ほどふさわしい国はない」と語った。 これまで以上に日本の立場が問われていよう。 広島選出の岸田文雄