インタヴュー・文/大石始 写真/白井晴幸 『YOSHIRO 世界を驚かせた伝説の日本人ラテン歌手』(焚書舎)がかなりの反響を巻き起こしている。1940年生まれの日本人ラテン歌手、YOSHIRO広石さんは1965年にベネズエラのテレビ局に招かれて南米へ渡ると、長年に渡ってラテンアメリカ各国のステージに立ち続けてきた。煌びやかなテレビのステージもあれば、場末のナイトクラブもあった。そして日本に拠点を構えた現在も、彼は海外と日本での活動を続けている。本書はそんな激動の人生を、YOSHIROさんみずからが綴ったものである。 たとえば、こんなシーンがある。YOSHIROさんはメキシコのアカプルコでたまたまヌーディストビーチに出くわすことになるが、そこで出会った若者たちがギターを爪弾きながら歌うのは、のちにアウグスト・ピノチェト将軍の軍事クーデターによって虐殺されるビクトル・ハラの歌なのだ。音楽を通し