米国でベストセラーとなった『負債の網』の著者エレン・ブラウン氏は、公共銀行制度研究所(Public Bank Institute)の会長であり、その鋭い論評は全米で注目を集めている。日米で議論が盛り上がっている「現代貨幣理論」(Modern Monetary Theory=MMT)と、アベノミクスのこれからについて聞いた。(聞き手:国際ジャーナリスト・翻訳家 大地 舜) 日本はMMTの 正しさを証明している ──日本のように自国の通貨で国債を発行できる国は、インフレにならない限り、財政赤字をいくら増やしてもよいと、現代貨幣理論は主張しています。提唱者の一人である、ステファニー・ケルトン・ニューヨーク州立大学教授は、「MMTの正しさは日本で実証されている」と言うのですが、いかがでしょう。 日本では、財政赤字が国内総生産の240%になってもインフレが起こっていませんから、その意味でMMTの考え