「私の視点」 一家綱邦さん(国立がん研究センター生命倫理部・部長) 「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」が今国会で改正された。同法が規制する「再生医療」は、様々な疾患・障害の治療や美容などを目的に、細胞を培養・加工して患者に投与する。同法の要は、再生医療の実施計画の作成を医療機関に義務づけ、その内容が安全か、科学的に妥当かを、国が認定する審査委員会(認定再生医療等委員会)が審査することだ。 約10年運用されてきた同法の改正ポイントは、①これまで規制の対象外だったタイプの遺伝子治療(in vivo遺伝子治療)を対象にすること②委員会の審査を適正なものにするため、国が立ち入り検査できるようにするなど対策を強化することである。 これは、科学的根拠の不明な医療が自由診療で行われていることへの問題意識に基づくようだ。「画期的な効果」などとうたわれる自由診療のがん遺伝子治療に、科学的根拠がなかっ