緊急事態宣言が解除され、少しずつ会食の機会も増え、年末に向けてタクシー需要の期待が高まっている。しかし、当のタクシードライバーたちは売上げ回復に心躍らせながらも、その反面ある不安を抱いているという。現役ドライバーの二階堂運人氏が、年末に増える「当たり屋」事件について、事例を紹介しながら解説する。 これが当たり屋の手口だ! 年末の忙しない時期になぜか当たり屋が増える。何かと入用が多い年の瀬、手っ取り早く金が手に入る犯罪だからかもしれない。 都内の大きな交差点で左のウインカーを出しながら信号待ちをしている早川亨(仮名・59歳)。信号が青に変わり左折しようにも横断する歩行者の波が途切れずなかなか前に進めない。 後部座席にはスーツ姿の若い男性の乗客を乗せている。その乗客は時折ため息をつき苛立ちを隠せない。早川もその仕草を見て余計にあせっている。その乗客には乗車時から急げと急かされていたのだ。 よう