生活者の財布を直撃した、2022年春以降の物価上昇率も落ち着きを取り戻してきた。一時期は消費者物価指数で年率4%を上回っていたのだから、数十年ぶりの上昇率であり、その影響も大きかっただけに一息つき始めたと言ってよい。 一方、財価格の上昇ペースは緩やかになっているものの、一般サービスの上昇ペースは高止まりしているため、従来の「インフレを気にせずに済む世界に戻ることはない」との声も聞こえてくる。 世の中は物価をめぐる変化点に差し掛かっている可能性もあり、改めて現状を確認しておくべきかもしれない。2023年末に新著である『物価変動の未来 人口と社会の先を見晴らす』(東峰書房)を発刊したこともあり、今回は遠い将来も見晴らしてこれからの物価がどうなるかをイメージしてみたい。 (平山 賢一:東京海上アセットマネジメント チーフストラテジスト) 数百年単位と数十年単位の複眼で物価を見る 物価変動の未来は