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インタビュー
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(山本一郎:財団法人情報法制研究所 事務局次長・上席研究員) 3月22日に放送されたTBS『報道特集』は、その界隈では大きな話題となりました。百条委員会にまつわるネットでの誹謗中傷が理由で自ら命を絶ったとみられる兵庫県元県議・竹内英明さんの件を含めた、兵庫県知事・斎藤元彦さんに関する報道がなされたからです。 この中で、県議会が設置する百条委員会とは別に組成された「文書問題に関する第三者調査委員会」の調査報告書が公表された翌日、亡くなった竹内さんの奥さまが番組の取材に応じている様子が映し出されました。 そのうえで、竹内さんの心労の原因とみられるSNS上の誹謗中傷は、誰が・何の目的で拡散させたのかという検証についても、番組の中で報じられています。 不肖、私・山本一郎も、いちネットユーザーとして、80件以上、誹謗中傷に関する訴訟を起こしたり起こされたりしました。また、ネットでの誹謗中傷やデマ・ガ
今世紀の終わりには、世界の人口構成は大きく変わり、サハラ以南の人口が世界の3分の1を占める(写真:AP/アフロ) 人口を維持できる水準(人口置換水準)である合計特殊出生率(ひとりの女性が生涯に産む子供の数)が2.1を割る地域は、既に人口換算で世界の3分の2に上る。この水準が続けば、今世紀末までに先進国の人口は20%から50%も減少し、労働人口に至っては2050年には先進国と中国で総人口の59%まで落ち込むという予測をマッキンゼー・グローバル・インスティテュート(MGI)が出した。 世界に先駆けて高齢化が進む日本は途上国からの移民に頼ればいいと安易に考えがちだが、この報告書によれば、サハラ以南のアフリカを除く他の地域も、1世代か2世代遅れて同じ人口減少に直面するため、世界中で働く若者が不足する事態になる。世界的人口減少とは何か。対策はあるのか──。共同執筆者のひとりであるAnu Madgav
「物語形式」がもたらした驚きの結果 下のグラフは、GPT-4による2022年アカデミー賞・主演男優賞の予測結果をまとめたものだ。左側のグラフが直接的なプロンプトによるもの、そして右側が物語形式プロンプトによるものである。前述の通り、いずれも同じプロンプトを100回繰り返して入力し、その平均を取った結果が示されている。 物語形式では、実際の受賞者であるウィル・スミス(紫色の棒)が97%という圧倒的な頻度で選ばれていることが分かる。一方、直接質問では無回答(NP、水色の棒)が約半数を占め、ウィル・スミス(紫色)は約19%に留まっている。 物語プロンプトを使用することで、正答が導かれる確率が高まったと同時に、LLMが高い確信を持って正解を選ぶようになったことが読み取れる。 たとえば、助演男優賞のケースでは、GPT-4に直接質問した場合、正解であるトロイ・コッツァーと答えられたのは100回中わずか
物語プロンプトが効果的だと考えられる理由 ChatGPTに直接「○○は将来どうなりますか?」と尋ねても、大抵は「確かなことは言えません」といった控えめな返答しか得られない。OpenAIの利用規約上、ChatGPTに未来の出来事の予想をさせる行為は推奨されておらず、そのためモデルが積極的に予測しないよう調整されている可能性も指摘されている。 実際、研究者らは論文の中で、「もしChatGPTが優れた予測能力を持っていることが判明した場合、すぐに利用規約に違反する形で利用されることは容易に想像できるため、OpenAIはChatGPTが多くの種類の予測タスクに従事することを抑制しているのではないか」と推測している。 ところが、物語の執筆という形で間接的に未来の出来事を語らせると、ChatGPTは途端に饒舌になる。この差はChatGPTに組み込まれた創造性や、いわゆる「ハルシネーション(幻覚)」と呼
実験で投入された2種類のプロンプト 「未来の物語」戦略とは、LLMに未来の出来事を直接的に予測させるのではなく、未来を舞台にしたフィクションの物語を作成させることで、間接的にその出来事を予測させようとする手法である。 もう少し具体的に言うと、予測したい未来の出来事について、まるでその出来事がすでに起きたかのように、未来の登場人物たちが語り合う物語をChatGPTに作らせるというものだ。 たとえば、今回の研究では、実験のひとつとして、2022年3月に開催された第94回アカデミー賞を題材に、ChatGPTが主要部門の受賞者を予測できるかが試された。 この2022年の受賞結果はChatGPT(LLMのバージョンはGPT-3.5と4が使用された)の訓練データ(2021年9月まで)には含まれていないが、ノミネートされた映画作品や俳優に関する情報自体は、LLMが十分に学習している状態だった。 つまりL
ウクライナ侵攻の展開を物語プロンプトで予測してみると…… 最後に、こんな実験をしてみよう。2025年3月時点で、ロシアによるウクライナ侵攻はまったく解決の糸口が見えていないが、果たして今年どのような展開を見せるのだろうか。ChatGPTに予測させてみよう。 まずLLMには、ChatGPTで使用できる最新モデルのひとつである「GPT-4.5」を選択した。次に、ChatGPTのウェブ検索機能を使用して、ウクライナ侵攻に関する最新の情報を集めさせた。それはGPT-4.5の学習データが、2023年11月の情報までしかカバーしていないため、それ以降の情報も考慮させようという意図からである。 そして集められた情報、ならびに学習データを通じて元からGPT-4.5が持っていた「知識」に基づいて、2025年内に何が起きるかを予測させた。 入力したプロンプトは次のようなものだ。 「2026年の初め、国際政治学
ChatGPTに「○○は将来どうなりますか?」と直接的に尋ねても、大抵は「確かなことは言えません」といった控えめな返答しか得られない。その背景には、未来の出来事を予測しないようChatGPTの頭脳であるLLM(大規模言語モデル)に調整が施されている可能性も指摘されている。ところが、プロンプトにある工夫を加えると、雄弁に未来を語り出すという。どういう工夫なのだろうか。(小林 啓倫:経営コンサルタント) 生成AIの予測力を上げるには 質問すれば何でも答えてくれる、便利な生成AI。いっそ未来のことも聞けないかというわけで、さまざまな形で生成AIを未来予測に活用する取り組みが行われてきたことは、この連載でも何度か取り上げた。 たとえば、専門家が編み出した「未来予測手法」に従うよう指示した生成AIは、予測精度が上がるという研究結果が出ている(参照記事)。 しかし、もっと簡単にChatGPTの予測精度
先ごろスペインで開催されたモバイル関連見本市「MWC 2025」で、中国のスマートフォンメーカーが最新技術を披露して存在感を高めた。しかし、第2次トランプ米政権によって米中間の技術対立が再燃する可能性がある。中国各社は警戒感を強めている。 シャオミ、オナー、オッポなど最新のスマホやAI技術披露 中国・小米(シャオミ)、中国OPPO(オッポ)、中国・伝音控股(トランシオン)、中国HONOR(オナー)など中国勢は、MWC 2025で最新スマホやAI(人工知能)技術を展示し、その技術力や競争力をアピールした。 シャオミはハイエンドのスマホを発表したほか、価格が52万9000元(約1100万円)の電気自動車(EV)「SU7 Ultra」も披露し、注目を集めた。オッポはAIのプライバシー機能をアピールし、トランシオン傘下の「TECNO」は眼鏡型AI端末を発表した。オナーはAIに100億米ドル(約1兆
一方、アメリカでは猛威を振るっているテスラ社・SpaceX社などの起業家、イーロン・マスクさんが大統領選でトランプ陣営に「毎月」71億円を渡した結果、大統領にトランプ再選で公職に就き、猛威を振るっています。 どうせなら石破茂さんに松平健さんみたいな300万円のキラキラのスパンコール付きダブルか何かを着せて国会でねっとり答弁をしていただきたいわけでして、政治文化が違うとここまで政治に使われるカネの規模が違うのかとビックリしますね。 で、いま子育て政策では「私立を含めた世帯年収の上限なし高校無償化」や「給食無料」など、目玉政策のようなものがボンボン打ち上げられ、しまいには先走った政治家から「大学無償」まで言われるようになってしまいました。 基本的に無償化といっても要するに税金のことですから、公費で賄う教育費という意味では、国民の納めた税金を子育て世帯にばら撒く施策以外の何物でもありません。 当
兵庫県の斎藤元彦知事をめぐる告発文書問題は発覚からまもなく1年になる。県政の混乱は、知事の不信任、出直し選挙での再選を経ても収まっていない。パワハラや“おねだり”疑惑を告発した元県民局長や追及した元県会議員らの命が失われたが、デマや誹謗中傷もやまない。3月4日には文書の真偽を調査してきた県議会百条委員会の最終報告が公表され、19日には県が設置した第三者調査委員会の報告が提出される。この間の知事の発言を振り返り、混迷が深まる原因を考える。(以下、文中敬称略) (松本 創:ノンフィクションライター) 賛同者ばかりの万博行事で自画自賛 大阪・関西万博の開幕1カ月前となった3月13日、神戸市内のホテルで開かれた関連行事に斎藤元彦・兵庫県知事の姿があった。冒頭で講演に立ち、自らの肝いり事業から語り始めた。 「われわれは『ひょうごフィールドパビリオン』というプロジェクトを中心に、万博の機運を高め、そし
(尾中 香尚里:ジャーナリスト、元毎日新聞編集委員) 「商品券」で七転八倒の石破自民 通常国会が大混乱している。 2025年度予算案は、高額療養費の負担上限額の引き上げ見送りをめぐり、石破政権の方針が二転三転。予算案は参院送付後に再修正に追い込まれ、今も年度内成立の道筋が見えない。 年金制度改革関連法案も、国会提出の期限(3月14日)に間に合わぬ事態となった。13日夜には「石破首相が自民党の衆院当選1期生15人に各10万円の商品券を配った」という報道が、日本じゅうを駆け巡った。
(川島 博之:ベトナム・ビングループ Martial Research & Management 主席経済顧問、元東京大学大学院農学生命科学研究科准教授) 備蓄米の放出があっても米価高騰はなかなか鎮静化しない。スーパーの店頭も品薄状態が続いている。前回(「“優秀な官僚”もコントロールし切れない「令和の米騒動」の本当の原因」)に続いてこの問題を考えてみたい。 十分な供給があるのに米が店頭で不足している理由について、次のような情報が飛び回っている。(1)流通業者の買い占め、(2)農家の売り惜しみ、(3)農協(JA)が故意に流通量を減らしている、(4)中国人やベトナム人が転売目的で買い占めている、などである。これらは部分的には事実であろうが、騒動の主因ではない。 インフレが招いた1918年の米騒動 推理小説ではないが、真犯人は全国民である。多くの場合、食糧高騰の原因は国民がつくる。米が不足してい
「エージェント」とは能動的に動くものという含みをもっているのですが、原点には、量子力学で言うところの「観測」という行為があります。別の言い方をすると、「エージェント」という概念は、「観測」というところから出発しながら、普通の意味での「観測」ということから自由になろうとしています。 例えば、私の目の前に本があり、それは確かにそこに存在する。私が見ていなくても存在している。これが実在論です。 僕たちは、自分の目やその他の知覚で確認できるモノが知覚とは無関係に実在しているという前提で生きています。ただ、こうした考え方は「素朴実在論」と言われ、随分前から哲学者の間ではバカにされてきました。 では、哲学者はどう考えてきたかというと、対象は意識や思考の対象、意識や思考に相関してのみ存在している、と言う。言い換えれば、モノは「現象」というかたちでのみ存在しているということです。この「現象」は、本書では鍵
時価総額20分の1だったアップルになぜ大逆転を許したのか ゲイツとジョブズ、2大巨頭の共通点と真逆の経営哲学とは 天才イノベーター・ジョブズの常識破りの発想と世界を変えるイノベーションの原点 小さなガレージで生まれたパソコンメーカーのアップルを世界的ブランドに育てたスティーブ・ジョブズ。1985年に社内対立で退職したあとNeXTやピクサーを成功に導き、1997年にアップルへ戻るとiMac、iPod、iPhoneなど革新的な製品を次々と世に送り出した。本連載では『アップルはジョブズの「いたずら」から始まった』(井口耕二著/日経BP 日本経済新聞出版)から内容の一部を抜粋・再編集し、周囲も驚く強烈な個性と奇抜な発想、揺るぎない情熱で世界を変えていったイノベーターの実像に迫る。 今回は、アップルに復帰したジョブズがiPodやiPhoneを連続してヒットさせ、時価総額でマイクロソフトを大逆転するま
建物の外部は、フレームに木材がネジ止めされているのですが、この写真をよく見てください。木の年輪のような模様が、くっきりと浮かび上がっているのが分かると思います。 こういう断面が観察される木材を「板目(いため)」と呼びます。 材木にはこういうタイプのものと、もう一つ別に、年輪がまっすぐに見えているものがありますよね? まっすぐなタイプの木材を「柾目(まさめ)」と呼びます。 音楽と情報が専門の私が、どうしてこんな木材の区別をあれこれ言うのか、実は理由があるのです。 この「柾目」英語なら「Straight grain」、ドイツ語なら「Gerade Maserung」と言います。 年輪がまっすぐに揃った木材を加工して、ヴァイオリンやピアノなど、伝統的な西欧の楽器は作られるのです。 正確には、このように目が揃った良質の木材をよく選び、何十年と乾燥させたうえで切り出し加工するんですね。 あるいは、曲線
中国の春にある年に1回の政治イベント両会(全国人民代表大会=全人代と人民政治協商会議=政協会議)があっという間に終わった。期待の民営企業促進法案は可決されず、中国が直面する経済的危機を回避したり解決したりする処方箋はなんら提示されていない。 昨年の全人代で李強首相が発表したように、今年からは首相内外記者会見はなくなり、全人代自体の開催意義やニュースバリューは著しく低下した。だが、中国共産党内部で異常事態が多々起きていることが垣間見えただろう。 (福島 香織:ジャーナリスト) まず多くの人が疑問に思ったのが、元気に全人代の開幕式を仕切っていた趙楽際・全人代常務委員長が10日の政協会議閉幕式、全人代主席団第三回会議、そして11日の全人代閉幕式を欠席したことだった。そしてその欠席理由が「呼吸器感染」と発表されたことだ。これには国内外のチャイナウォッチャーたちが大いなる違和感を持った。 共産党と政
生成AIの活用が一般的になるにつれて、従来のSEO(検索エンジン最適化)からGAIO(生成AI最適化)の重要性が叫ばれるようになっている。その中で、意外な形でGAIOを成功させている組織が明らかになった。それはロシア政府である。GAIOをフル活用してプロパガンダ情報で生成AIを洗脳するロシア政府の戦術とは。(小林 啓倫:経営コンサルタント) 少し前からこの連載で、「GAIO」という概念について紹介している。これは「Generative AI Optimization」の略で、マーケティングの分野で使われる場合、「生成AI最適化」の意味となる。 かつての「SEO(Search Engine Optimization)」、すなわち「検索エンジン最適化」になぞらえて、生成AI時代に自社サイトへの流入を呼び込むために、生成AI向けに行う各種の対策を指す。生成AIを通じて情報を得る消費者が増えてきた
生成AIとAIエージェントの活用方法 2025年3月13日、グーグル・クラウド(Google Cloud)が開催した「AI Agent Summit ’25 Spring〜AI エージェント、生成 AI でビジネスを革新〜Gemini と Google Cloud が導く成功への道筋」と題されたイベントに参加したので、お伝えします。 基調講演では、グーグル・クラウドのテクノロジー部門兼事業開発本部執行役員である寳野雄太氏と、同テクノロジー部門のカスタマーエンジニア鈴木かの子氏が登壇。 さらに、日本電気(NEC)の中田俊彦氏、衣料品・雑貨の企画販売を行うアダストリアの梅田和義氏、博報堂DYメディアパートナーズの篠田裕之氏が各社の具体的な活用事例を紹介しました。 今回のイベントの中心テーマは、ビジネスの成長を加速させるための「生成AI」と「AIエージェント」の活用です。
「トップは何もするな」 続々と集まるカイゼン案で生産性向上、ANAが構築した「現場が提案したくなる」仕組み トヨタ自動車発祥の「カイゼン」は、トヨタのみならず、さまざまなものづくりの現場で採り入れられている。そのカイゼンをグループ23社、約3万1000人を対象に展開したのが大手航空会社のANAだ。旅客・運輸サービスを主力事業とする非製造業の同社は、なぜカイゼンに取り組んだのか──。2024年12月に書籍『ANAのカイゼン』(かんき出版)を出版したANAビジネスソリューションの川原洋一氏に、ANAがカイゼンを導入した背景や、組織にカイゼン活動を定着させるためのポイントについて聞いた。 海外で活発に取り組まれている「KAIZEN」 ──著書『ANAのカイゼン』では、2016年からカイゼンを導入したANAグループオペレーション部門の取り組みを主題としています。「カイゼン」とは、具体的にどのような
実際に火事になって燃えているという話ではなく(ただし木部は燃えやすいかもしれません)ネットで猛苛に直面しているわけです。 この件については、やや独特な観点からコメントができるので、この原稿を準備しました。というのも、私の研究室は「隈研吾設計」になる建物の中にあり、その「居住性」を日々体感しているのですから。 修理費3億円の美術館 昨年秋、話題になったのが栃木県那賀川町所在の「那珂川町馬頭広重美術館」のケースです。 2000年3月に竣工。「林野庁長官賞」「村野藤吾賞」などの栄誉に輝き、21世紀の観光スポットとして広く知られるようになったのは良かったのですが・・・。 出来上がって15年を過ぎるあたりから木材の劣化が目立ち始め、2024年には雨漏りなどの老朽化が放置できない状況まで進んでしまった。 改修費「3億円」というショッキングな数字とともに、広く社会に知られるようになり、ネットでも隈建築を
首都キーウを守り切り、ドニプロ川までの侵攻を許さず、現在の接触線で阻止している。 その間、ゼレンスキー政権は、国を防衛するという強い意志を持ち続けた。兵士たちは命を懸けて守り、国民はミサイル攻撃による多くの死傷者を出しながらも耐えた。 また、米欧から供与された兵器や情報を使って、ロシア軍の攻撃を阻止し、破砕している。 もしも、ゼレンスキー政権がウクライナから逃避し、国民も抵抗しなかったなら、侵攻から3日から2週間で敗北し、ウクライナ全土が占領されていたであろう。 そして、親ロシアの政権が樹立され、ウクライナに侵攻したロシアの軍事力がそっくりそのまま残存することになったかもしれない。 もしそうなっていれば、欧州諸国は、ウラジーミル・プーチン大統領率いるロシア軍に、次は自分たちが攻め込まれるという脅威を感じることになっただろう。 再び大統領に返り咲いた「米国第一主義」を抱えるドナルド・トランプ
2025年春入社の新卒初任給を大幅にアップする動きが広がっている。大詰めを迎えている春闘でも、連合(日本労働組合総連合会)が「5%以上」の賃上げを要求する方針を掲げ、6日に公表した賃上げ要求の平均は6.09%と32年ぶりに6%を超えた。高まる「賃上げ」ムードに多くの読者が給料アップに期待を膨らませているかもしれない。だが、現実はそう甘くはない。特に就職氷河期世代をはじめとする中高年社員には厳しい状況が待ち受けている。その理由を2回に分けて解説する。 (藤井 薫:パーソル総合研究所 上席主任研究員) >>(後編)春闘大詰め!「賃上げ5%」でも喜べない、氷河期世代が割を食うカラクリ…労組弱体化で配分が若手に偏る厳しい現実 初任給30万円超え続々 2025年度の新卒初任給引き上げのニュースが目立つ。ユニクロなどを展開するファーストリテイリングは3万円引き上げて33万円に、年収も約10%増の500
経営変革の切り札とされるDX。多くの日本企業が推進に取り組むが、「デジタル化」や「カイゼン」にとどまるケースが少なくない。本連載では、『まやかしDXとの決別! 生成AI時代を勝ち抜く真のデジタル事業変革』(横山浩実著/日本経済新聞出版)から内容の一部を抜粋、再編集。DXを真の事業変革につなげる要諦を考察する。 今回は、DXを進める上で経営層・現場リーダーに求められるリーダーシップの在り方と、獲得すべき「4つの能力」について解説する。 ■「予測型リーダーシップ」と「適応型リーダーシップ」 様々なタイプの従業員が働く組織で、共通の目標やビジョンを達成するために、経営層や現場リーダーはリーダーシップをもって組織を牽引することが必要であることは言うまでもない。 これからのDXは経営変革の手段とすべきであり、アジャイル型(第3章参照)で進めるほうが(ウォーターフォール型よりも)柔軟にプロジェクトを進
生成AIによる検索が広がる中、企業は悪夢のような現実に直面しつつある。AI検索のまとめ機能でユーザーが満足し、元ページに来ないという問題だ。これまでのSEOの常識が塗り変わる中で求められるGAIOとは。(小林 啓倫:経営コンサルタント) 先日、この連載で「GAIO」という概念があることを紹介した。これは「Generative AI Optimization」の略で、マーケティングの分野で使われる場合、「生成AI最適化」という意味となる。かつての「SEO(Search Engine Optimization)」すなわち「検索エンジン最適化」になぞらえて、生成AI時代に自社サイトへの流入を呼び込むために、生成AI向けに行う各種の対策を指す。 なぜGAIOが叫ばれるようになったか。それは消費者がウェブ上のコンテンツにアクセスするとき、その入り口となるのが、検索エンジンから生成AIに替わりつつある
2024年8月、長崎県は、10回目の公共事業再評価で、石木ダム事業を継続するとの判断を行ったからだ。総事業費は着工時(1973年)の2.6倍で420億円、工期延長は24年も遅れて2032年になる。 この間、国レベルでは社会資本(以後、インフラ)の維持管理に傾注すべく法改正が行われてきた。しかし、地方の現場レベルではいまだに半世紀前の公共事業は連綿と続く。その分、既存のインフラの維持管理には予算が集中投下されない。1月28日に埼玉県八潮市で起きたような下水道破損は、全国どこでも起こり得る状態なのだ。 形骸化した「再評価」 国のインフラを巡る法改正と予算配分のミスマッチは、なぜ解消されないのか。石木ダムを例に考えてみよう。長崎県が、石木ダムの継続を決定するにあたっては、治水事業のみを検証し、利水については佐世保市に継続の意思を確認しただけだ。 一方、その佐世保市が「佐世保市上下水道事業経営検討
「余計なお世話」は顧客を減らす トライアルHD永田洋幸CDOが語る「店舗のメディア化」に大切なこと 小売りの現場に生成AIを トライアルが描くリアル店舗の未来形 2023年、生成AI「ChatGPT」の登場が世界に衝撃をもたらした。だが、業界によっては生成AIの活用をまだ遠い未来の話と捉えているかもしれない。そんな中、「流通小売業に生成AIを導入するのは不可避」と語るのは、九州を拠点にディスカウントストアを展開するトライアルホールディングスの取締役CDO、永田洋幸氏だ。2023年12月、書籍『生成AIは小売をどう変えるか?』(ダイヤモンド社)を出版した同氏に、小売りの現場で生成AIを活用する上でのポイント、トライアルが現在進めている「リテールメディア」の取り組みについて聞いた。(前編/全2回) 生成AIも「収益化」につながらなければ意味がない ──著書『生成AIは小売をどう変えるか?』では
物価高に賃金上昇が追いつかず家計は火の車で、消費は低迷。円安の下で海外観光客が大量に押し寄せる一方、日本人は海外旅行を控え、パスポートの取得率は過去最低。なぜこんなことになったのか。『日本経済の死角―収奪的システムを解き明かす』(ちくま新書)を上梓したBNPパリバ証券のチーフエコノミスト・河野龍太郎氏に話を聞いた。(聞き手:大崎明子、ジャーナリスト) 【前編】この25年で生産性は3割上昇したのに実質賃金はまさかの据え置き、日本人が貧しくなった本当の理由 ──コーポレートガバナンス改革により、従業員よりも株主が重視されるようになったことも問題だと指摘しています。 河野:米英では1970年代から、企業は株主の利益を最大化すべきだという考え方が広がっていたわけですが、最近は、従業員や地域社会など全てのステークホルダーに分配すべきだという方向へ揺り戻しが起きています。 ところが、日本は、かつては株
ダイソーと蜜月関係だったのに…「つぶれない会社」で有名だった100均グッズメーカーは、なぜ突然破綻したのか 中小・零細企業の倒産が増加している。コロナ対策として実施された金融支援の縮小・終了により資金繰りが悪化し、さらに物価高や円安といった市場環境の変化も重なり、取引先が予期せず経営破綻するケースが相次いでいる。大企業にとっても、こうしたリスクの兆候を見逃さないことが重要だ。本連載では『なぜ倒産 運命の分かれ道』(帝国データバンク情報統括部/講談社)から内容の一部を抜粋・再編集。大企業と取引のあった2社の事例から浮かび上がる“倒産のリアル”に迫る。 今回は、100円ショップ向けの日用雑貨品を企画製造し、2023年9月に民事再生法の適用を申請したメーカーのケースを紹介する。 100円ショップ向け日用雑貨企画製造、卸 近畿用品製造 ■ ダイソーの親密先「優良企業」はなぜ破綻したのか 【負債】
1930年代から40年代にかけて、アジアの某帝国が石油や鉄鉱石などの資源を得るために戦争をしたことがある。 しかし今回、資源をよこせと言っているのは、なんと、その帝国を圧倒的物量と経済力で叩き潰した天下のアメリカ合衆国なのだ。 太平洋戦争の経緯を思い起こすと、日本人として大変複雑な感情を抱かざるを得ない。 米国の資源の豊かさは、世界有数である。 石油もガスもある。米国では白金族、モリブデン、ベリリウム、ジルコニウム、レアアースとレアメタルも採掘されている。 皮肉なことに、米国のレアアース資源は中国には劣るものの、ウクライナと比べれば圧倒的に巨大である。 どうして、あの豊かな米国が、哀れなほどの資源貧国の大日本帝国みたいな真似をするのか。筆者にはさっぱり分からない。 しかし、それより先に筆者の頭を最初に過った疑問があった。「あれ? ウクライナにレアアースなんてあったっけ?」というものだ。 ウ
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