『津軽』(太宰治)を一言で説明するなら、「愛と憎しみの汽水域」だと思うことにしました。愛と憎しみが静かに混ざり合った話に思えたからです。 『津軽』全編を読む 『津軽』は、序章と本編の一~五章からなる小説です。40年も前、高1の国語の教科書に、五章部分(一部か全部かは不明)だけが掲載されていました。授業でも、その部分だけの学習だったと思います。当初、そこだけを記事にするつもりでしたが、青空文庫に『津軽』があったので、全文を読んでみました。 www.aozora.gr.jp 読後、高校時代からの印象は、がらりと変わりました。 (注意:これ以降、ネタバレあり) 『津軽』に登場する主な場所 高校時代のイメージ 印象に残っている部分 教科書に記載された、太宰と幼い頃に世話になった元女中のたけとの再会部分が物語のクライマックスだと聞いていました。その中で印象に強く残っている部分を紹介します。 太宰がた