その昔、カタカナの「シ」と「ツ」の書き方の違いを、バナナマンの日村さんに教えたのは、相方の設楽さんだ。 おかしな話だけれど、日村さんは「シ」と「ツ」、ついでに「ン」の書き方が怪しい。 設楽さんは何度だって「“シ”はね、“ツ”はさ、」と、その書き方について説明してきた。 その度に「そっかそっか」「またやっちゃった」と日村さんは言うけれど、おそらく、きっと、今でもあやふやなのだ。 うんと若いころ、2人が足を踏み入れた畳の楽屋には、座布団がいくつか積み上げられていた。 日村さんは、迷うことなくその上に「デンッ」と腰を下ろす。 設楽さんは「日村さん、どうしてその上に座っちゃうの?オレも居るんだから、そういうときは、1枚オレに渡すんだよ」と伝えた。 「そっかそっか」と日村さんは座布団を設楽さんに渡したという。 もちろん今は、そんなことはしない。 たくさんのことを注意されて、たくさんのことを教わって。