おれの父親は脳の癌で死んだ。 プライベートなことでありセンシティブなことでもあるので、 あまり話したくない意味はあったが、 おれの人生観にも関わっていることだし、 他人がこの話から学べることもあると思うので、書くことにした。 読んだ人が、この文章から何かを感じ、 今後の人生に生かすことが出来れば幸いに思う。 父親が死ぬまでおれの父親はこんな人間だったおれの父親は少し変わった人だった。 家族で歩いていたはずなのに、 興味があることが見つかって 突然どこかにいなくなってしまったり、 母親に言われた買い物が正しく出来なかったり、 おれが麻布高校の運動会でリレーを走った時は、 それまでにビデオカメラの電池を全部使い切ってしまい、 肝心のところが撮れていないという失態を犯し、 母親に叱られていたこともあった。 料理は全く出来なかった。一度、母親がいない時に 焼きそばを作ったことがあったが、油がコテコ