福岡地裁で30日に開かれた殺人事件の初公判で、検察側が事件直後の現場や遺体、致命傷になった傷口などの証拠写真を、プロジェクターで法廷に大写しにした。来春始まる裁判員制度を見据えた「見せる法廷」の取り組み。制度開始に向け、さらに証拠の示し方などを検討するという。 殺人罪などに問われた福岡市東区、無職木下和美被告(36)の初公判。起訴状によると、昨年9月10日、別れ話を切り出されたことに腹を立て、自宅で寝ていた元交際相手の男性(当時34)の首を出刃包丁で切りつけて失血死させたとされる。 検察側は傍聴席に向けたモニターに、大量に出血して倒れた男性の遺体や首の傷口、血痕の写真などを次々に映写。犯行状況を詳しく再現した。論告では、現場状況を「血の海」と表現し、「残忍極まりない犯行」として懲役14年を求刑した。 傍聴した男性の父親は公判で「(写真を)目を開けて見られなかった」と意見陳述した。地検