本田圭佑擁するパロFCか、ネパールの雄チャーチボーイズか。AFCチャレンジリーグ、プレーオフ。間違いなく最高峰ではない。しかしながら互いの思惑と誇りが交錯した泥まみれの死闘は、本場プレミアリーグにも匹敵する熱を、確かに帯びていた。 発売中のNumber1103号に掲載の[ナンバーノンフィクション]本田圭佑「今夜、アジアの片隅で」より内容を一部抜粋してお届けします。 10歳の少年が夢見たブータンの奇跡 すべての始まりはパロ空港の駐車場に設けられたささやかなスクリーンだった。 ヒマラヤ山脈の東端に位置するブータンでは、伝統文化を守るために長らくテレビ視聴が禁止されていた。国民はテレビ放送の解禁を1999年まで待たなければならなかった。 ただし、例外もあった。そのひとつがブータンに駐留するインド軍である。ブータン軍を訓練するためにインド軍から軍事訓練チームが派遣されており、彼らはパラボラアンテナ