最近では書店に行くと自己啓発本(勉強法、記憶術、発想法、集中法、読書術、速読法、ノート術、情報管理術、時間管理術、文章作成術、モチベーションの維持・強化の方法など)の勢いが誠にすさまじく、そのジャンルの書籍が売場本棚の一角を大きく占めるまでになっている。岩波新書の青、梅棹忠夫(うめさお・ただお)「知的生産の技術」(1969年)は、そうした自己啓発本の走りの古典ともいうべき本である。本書初版は1969年だ。 「学校では知識は教えるけれど知識の獲得のしかたはあまり教えてくれない。メモのとり方、カードの利用法、原稿の書き方など基本的技術の訓練不足が研究能力の低下をもたらすと考える著者は、長年にわたる模索の体験と共同討論の中から確信をえて、創造的な知的生産を行なうための実践的技術についての提案を試みる」(表紙カバー裏解説) 解説文書き出しの「学校では知識は教えるけれど知識の獲得のしかたはあまり教え