2019年4月に施行された働き方改革関連法が背景にある。多様な働き方の実現を目指した同法は「残業は月45時間の上限を超えてはならない」「年5日の年次有給休暇を確実に取得させる」といった義務を企業に課した。違反すれば経営者らに罰則が科される。 企業内部でも多様な働き方へのニーズが高まっている。働き方改革の動向に詳しいNTTデータ経営研究所の加藤真由美ビジネストランスフォーメーションユニットシニアマネージャーは「多くの企業で仕事と育児・介護を両立させたいという声が現場社員から上がっている」と話す。 内外の変化を受け、ある大手企業は人事制度の見直し方法を変えた。従来は法にのっとり業界での標準的な在り方を調べ、検討に検討を重ねたうえで慎重に制度を確立させていた。制度改定の頻度も少なかった。これをまずは社員のニーズを組み上げ、ニーズありきで頻繁に制度を見直すようにした。