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石川博品の検索結果1 - 9 件 / 9件

  • 石川博品『冬にそむく』 - Close To The Wall

    冬にそむく (ガガガ文庫) 作者:石川博品小学館Amazon『ボクは再生数、ボクは死』以来、石川博品ほぼ三年ぶりの新刊。異常気象で年中雪が降る「冬」が訪れた世界の三浦半島のある町を舞台に、冬の冷たさと雪に閉ざされた閉塞感のなかで、それでも高校生の恋人同士がデートを重ね、かまくらや小さな部屋や布団のなかで二人だけの温度を確かめ合いながら生きる理由を見つけ出す青春小説。 しばしば授業がリモートになる「冬」の設定は明らかにコロナ禍の小説的変奏で、コロナ禍を人との交流そのものは阻害されない形に変形して、見えない恐怖を雪という徐々に降り積もって歩くことすら困難にさせるものへと物質化し、諸々の困難を子供たちの閉塞感を描くために小説的に操作しやすいものにしている。初めての事態に不慣れな授業を受けざるを得ず割を食ってる世代の二人を通して、終盤の展開に直に現われているけれどもそんな子供たちのこの灰色の世界へ

      石川博品『冬にそむく』 - Close To The Wall
    • 石川博品「ボクは再生数、ボクは死」 VR世界で繰り広げる大抗争|好書好日

      薄給にあえぐ会社員・狩野(かのう)忍、28歳。しかし一度、VR(仮想現実)世界にログインすれば、彼は「世界一カワイイ」美少女シノになる。軽自動車1台分の金額をつぎ込んだアバター(VRにおける自分の分身)をまとい、夜な夜なVR風俗に通うシノ。だが、お気に入りのVR風俗嬢・ツユソラが一晩100万円の超高級店に移籍してしまったことで、シノは彼女と再会する資金を稼ぐため、動画配信を始めることになる……。 CGやイラストで描画されたキャラクターをアバターとしてYouTubeなど動画投稿サイトで配信を行うバーチャル・ユーチューバーは、キズナアイを筆頭に、すっかりネットに定着した。VR用の美少女アバターを手に入れることを指して「バ美肉」(バーチャル美少女受肉の略)なる言葉も生まれている。 『ボクは再生数、ボクは死』はそんなVR文化が題材の作品だ。著者・石川博品(ひろし)は、旧ソ連風の全体主義国家で少数民

        石川博品「ボクは再生数、ボクは死」 VR世界で繰り広げる大抗争|好書好日
      • 読書標識|『ボクは再生数、ボクは死』石川博品/遊びをせんとや生れけむ(岩倉文也)|tree

        次に読む本を教えてくれる書評連載『読書標識』。 月曜更新担当は作家の岩倉文也さんです。 今回は石川博品『ボクは再生数、ボクは死』(KADOKAWA)をご紹介していただきました! 書き手:岩倉文也詩人。1998年福島生まれ。2017年、毎日歌壇賞の最優秀作品に選出。2018年「ユリイカの新人」受賞。また、同年『詩と思想』読者投稿欄最優秀作品にも選出される。代表作に『傾いた夜空の下で』(青土社)、『あの夏ぼくは天使を見た』(KADOKAWA)等。 Twitter:@fumiya_iwakura ぼくは夢から目覚めると、いつもこう思う。ぼくの夢に登場してきた彼や彼女は、いったい夢が終わった後どうなってしまうのだろう。たしかに意思を持ち、ぼくとは関係なしに振る舞っていたように見えた彼らも、所詮まぼろしに過ぎず、死と呼ぶのもおこがましい消滅を経て、ぼくの無意識に還っていくのだろうか。 ぼくは夢のこと

          読書標識|『ボクは再生数、ボクは死』石川博品/遊びをせんとや生れけむ(岩倉文也)|tree
        • 石川博品と比嘉智康。10年間好きだった二人のくっきりしすぎた個人的な明暗 - スパイシーアップルサイダー

          石川博品と比嘉智康。二人の共通点はゼロ年代にデビューしたライトノベル作家。けっこう数年に一度ぽつぽつと新作を刊行続ける。デビューから今に至るまで根強いファンがいる。 コレくらいなもん気がします。あと個人的な話なんですけど、私が10年間くらい好きなライトノベル作家であること。このあくまで個人的な事が自分にとっては大切なものである。それこそ心の宝石箱だい!!と10年以上前の彦摩呂が言いそうで言わなそうな。そんな、好きなライトノベル作家である。 まぁそんなスローペースで刊行してる両作者がこの2カ月で新作を出した。 冬にそむく (ガガガ文庫) 作者:石川博品 小学館 Amazon 命短し恋せよ男女【電子特典付き】 (電撃文庫) 作者:比嘉智康 KADOKAWA Amazon 私はライトノベルが好きだった。過去形なので今はあまり好きでもないし。読んでもないです。 しかしやはり10年間好きな作家。それ

            石川博品と比嘉智康。10年間好きだった二人のくっきりしすぎた個人的な明暗 - スパイシーアップルサイダー
          • 石川博品『ボクは再生数、ボクは死』 - Close To The Wall

            ボクは再生数、ボクは死 作者:石川 博品発売日: 2020/10/30メディア: 単行本石川博品二年ぶりの新作。商業では『海辺の病院で彼女と話した幾つかのこと』、同人では『夜露死苦! 異世界音速騎士団"羅愚奈落"』以来となる。去年は商業も同人も新作がなく、今年は『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』アンソロジーに短篇二作を発表しているけど、これは序盤しか原作を知らないので読んで良いものかどうか迷ったままになっている。 さて、本作は近未来VR世界で特注の女性アバターをまとい風俗通いに勤しむ主人公が、高級娼婦にハマって資金を捻出するためにならずものアカウント殺害動画配信をして稼ごうという話で、帯文通りエロスとバイオレンス濃いめでもあるんだけれど、VR設定によって切実さとともに軽薄なコミカルさも失わないバランスが素晴らしい。 2033年、サブライムスフィアというVR空間が舞台で、場所によっ

              石川博品『ボクは再生数、ボクは死』 - Close To The Wall
            • ボクは再生数、ボクは死(石川博品) - カクヨム

              2020年10月30日にKADOKAWA様より発売されます『ボクは再生数、ボクは死』のサンプルです。 https://www.kadokawa.co.jp/product/322007000039/ 冒頭90ページくらいを掲載しています。全10話です(登場人物紹介を含む)。カクヨムの規約に沿うよう、一部表現を変更しています。 (以下あらすじ) しがない会社員の狩野忍は世界最大のVR空間サブライム・スフィアで世界最高の美少女シノちゃんとなった。 VR世界で恋をした高級娼婦ツユソラに会うため、多額の金銭を必要とするシノは会社の先輩である斉木みやびと共に過激で残酷な動画配信を行うことで再生数と金を稼ぐことを画策する。 炎上を繰り返すことで再生数を増やし、まとまった金銭を手にしたシ…続きを読む

                ボクは再生数、ボクは死(石川博品) - カクヨム
              • 石川博品『ボクは再生数、ボクは死』 - オネミリエ

                ボクは再生数、ボクは死 作者:石川 博品発売日: 2020/10/30メディア: Kindle版 FPSもオンラインゲームもVチューバ―も経験ないのでぼんやりとした印象になってしまうのがもったいないけど楽しかった。僕の知っているものでたとえるなら、『アバタールチューナー』の小説版とか『順列都市』のような仮想世界にどっぷり浸る感覚の小説だ。主人公が忍だから『最果てのイマ』も思い出される。今はアニメやラノベでこういう設定のものが溢れかえっているけど石川センセが描いてくれると自分も安心して楽しめるみたいで、何度も笑いながら一日で読んでしまった。その後で満月の光を浴びつつ久々にジョギングしながら、何か感想で書けるようなことがあるかなと思い返す時間も楽しくて、気づいたらジョギングも終わっていたけど、特に何かすごい感想を思いついたわけでもなかったのだった。 この作品の舞台である2033年頃にはたぶんこ

                  石川博品『ボクは再生数、ボクは死』 - オネミリエ
                • 殺戮の街 The Street Of Bloodbath(石川博品) - カクヨム

                  世界最大のVR空間「サブライム・スフィア」内にある巨大風俗ビル「アーケード」でブラッドバスはバウンサーとして働いている。キャストに迷惑をかける厄介客を実力で排除するのが仕事だ。 ある日、彼女はアーケードの同僚から零細配信者のフォロワー5人全員が殺されたという事件の話を聞かされる。オンパコフレンドである人気配信者・シノにネタを提供できるかもと考えたブラッドバスは調査を開始するが――。 本作は『ボクは再生数、ボクは死』(KADOKAWA)のスピンオフです。

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                  • 石川博品「あたらしくうつくしいことば」のノート|田野廃器

                    最近、「表現者」とか「表現すること」がテーマの本をいろいろと読んでいて、その流れで手話を題材に表現の可能性を探求した青春小説「あたらしくうつくしいことば」を読んだ。そのまえに読んだ、同じ石川博品作品の『先生とそのお布団』のテーマが「小説家であり続けること」だとしたら、「あたらしくうつくしいことば」のテーマは、「小説を書くまで」だろうか。 とてもよかったので、感じ考えたことをほんのちょっとだけ書いてみる。 まず気になったこと。「あたらしくうつくしいことば」とはいったんどんな言葉なのか。手話に限定せず、わたしたちのことばのどこにあたらしさがやどるのか。 たぶんそれは、自分のことばと、だれかのことばの「混ざりかた」にやどるのだと思う。作中では、別々の手話の話者同士が仲良くなるうちに、それらが混ざり合った新しい手話が生まれる、というかたちで描かれていたけど、たとえばいまわたしがキーボードを打ってコ

                      石川博品「あたらしくうつくしいことば」のノート|田野廃器
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