「絵巻マニア列伝」で、いにしえの愛好家の情熱とともに絵巻の醍醐味を満喫しよう。 2017.04.06 文:坂本 裕子 後白河院による蓮華王院宝蔵と考えられる「病草紙」は、輪廻転生の六道絵のひとつ。腹痛や歯痛のほか、先天性疾患から居眠りや不眠(いまなら睡眠障害?)など幅広い症状が取り上げられます。こちらは深夜にひとり眠れない女のいらだちや淋しさが、健やかに眠る女房たちとの対比で表されます。 重要文化財 《病草紙断簡 不眠の女》 一幅 平安時代 12世紀 サントリー美術館 【全期間展示】 詞書と絵が合体した「絵巻」。そもそもは中国から伝来したものですが、日本で独自の流行と発展をみた芸術様式です。遺されている名品の数々も、いまでは残念ながらガラス越しに広げられたシーンだけしか楽しむことができませんが、かつては手に取り、右から左へ、少しずつ巻き取りながら読んでいました。さながらそれは、現在の漫画や