(「月刊ビジネスアイ エネコ」2016年3月号からの転載) 鉄道では、年間5000件ものシカとの衝突件数が発生しています。旅客や貨物の安全運行の妨げになり、鉄道会社にとって大きな悩みでした。近隣住民にとっても精神的負担になり、社会問題化していました。そんな中、建材総合メーカーが問題解決につながる製品を開発し、注目されています。 なぜシカが線路に入るのか 衝突増加の背景として、①狩猟者が高齢化で減少しているうえ、銃刀法改正で狩猟免許の更新手続きが煩雑になり担い手が減少、②シカの頭数が増加、③里山が減り、シカがエサを求めて山を下りてくる―ことなどが挙げられます。 鉄道会社にとって山間部を走る鉄道とシカの衝突は、列車遅延や部品損傷、死骸処理などで経済的な損失が大きい。対策としてこれまで、シカが嫌うライオンなどのふん尿を薄めた水を線路上にまいたり、線路沿いに背の高い柵を設置したりするなど、さまざま