記事:白水社 『表紙絵を描きながら、とりあえず。』(白水社) 表紙絵を描きながら、とりあえず、ビール。 なんてこともないわけではないのですが、絵をかいている間は、とりあえずここに雲をかいてみよう、このあたりに赤色で何かほしいな、とりあえずチューリップみたいな花をかいてみよう、というような、とりあえずとりあえずの連続です。週刊新潮の表紙絵ではこのとりあえずはあまりないのですが、ときどきかいている現代アートっぽい絵をかいているときは、とりあえずだらけです。自身の意識の奥底でうずくまっている気がする形と色、それをまさぐるように、引っ張り出すようにしてかいている絵なのですから、とりあえず色をぬり、とりあえず線を引いて何らかの形をかいてみるほかないのですね。そのとりあえずをつぶしたり、とりあえずから次のとりあえずのイメージが出てきたり、そんなとりあえずの連鎖のなかで、ふと、これで絵になったのかな、と