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貶す 貶めるの検索結果1 - 1 件 / 1件

  • 賭けものになった側妃

    大時計の短針は、真上に近い。 豪奢な王宮の大広間で、かつてのように男が叫んだ。 「お前が賭けるのはその側妃だ、帝王!去年奪ったその女を、天秤に掛けるが良い!」 白を基調とした月光を途切れさせるほど眩いホールは、香水と馳走の匂いで満ちている。着飾った人々が、波打つように騒めいた。まさかとかどうしてとか、ある者は驚愕を、ある者は疑問を込めて、思い思いに言葉を呟く。 その全てを一顧だにせず、深紅のドレスの女を膝に乗せた帝王は、僅かに口角を上げる。 横長の玉座に座るその男は、本当に美しかった。 黒みがかった赤髪、それより鮮烈な血の色の瞳。正装越しでも分かる鍛えられた腕は、どんな女でも触れられたい、抱きしめられたいと熱望するだろう。若いとすら呼べる年で、一昨年玉座を手に入れたはずであるのに、この場の誰よりも豪華な正装は、彼の風格に良く似合っていた。 貞淑たれと教え込まれた婦女子たちからも熱い視線を向

      賭けものになった側妃
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