「交通事故の被害者は、なぜこれほど苦しめられるのか……。先日、被害者・遺族の懇談会で、聴覚障害のお嬢さんを亡くされた井出さんとお話しする機会がありました。我が家も同じ損保会社から、障害者になった娘の生きる権利をも奪うような対応をされ、あまりに理不尽な現実に改めて怒りと疑問が込み上げました」 そう憤るのは、2年前、長女が交通事故で全身まひの重度障害を負った、石田さん(仮名)です。 石田さんが意見交換をしたという井出さんの事故については、すでにメディアで大きく報じられているのでご存じの方も多いでしょう。 井出さんの長女・安優香さん(当時11)は、ろう学校に通う聴覚障害児でした。2018年2月、下校途中に信号待ちをしていたところ、暴走してきた工事用の重機にひかれ亡くなりました。 しかし、その後の民事裁判で被告側は、「聴覚障害者は思考力や言語力、学力を獲得することが困難。就職自体が難しい」として、