衆院選で躍進した国民民主党は、与党との政策協議を行っている。そこで大きな焦点となっているのは、国民民主党が掲げる「103万円の壁」対策だ。基礎控除、給与所得控除の合計を現在の103万円から178万円まで拡大させ、課税最低水準を引き上げることで、労働時間の調整による人手不足を緩和させるというものだ。 「103万円の壁」対策は重要であるが、国民民主党の案は、すべての所得者に適用される減税措置であることが問題を生んでいる。それは、所得水準が高く、高い税率が適用される高額所得層により大きな減税の恩恵が及ぶことだ。これは所得格差を拡大させてしまう。 国民民主党は衆院選挙を通じて、「手取りを増やす」と訴えてきた。高額所得者の手取り収入を増やすことを目指している訳ではないだろう。また、若者の支援も訴えてきたが、これは低所得層支援と重なるものだ。「103万円の壁」対策である所得減税は、こうした国民民主党が