見栄を捨てれば楽になる。 でもなかなか捨てられず、 かっこつける自分がいる。 人目を気にする狭い世界のじぶん。 小さい時に数年間住んでいたあばら家。 マフラーに穴があいてバイクのような音のする父の車。 小学校から高校まで同じで錆だらけの自転車。 大声で話す酒飲みの父。 自分のそれまでの事を知らない都会に出てからは自由だ。 今まで恥ずかしかったことすべてがおいしい笑い話のネタになった。 同じ事で、同じ自分なのに置かれた環境で違う気持ちになるのだ。 飲み歩き友人と騒ぎ、自分勝手に笑って暮らすある日、父からの電話があった。 その電話を皮切りにあれよあれよという間にせっかく建てた家がなくなってしまい 私は家のない田舎に帰った。 いっとき精神的ダメージはかなりあったが離婚なんて珍しくもない。 その頃は、全く恥ずかしくはなかった。 安アパートで母と弟と3人。 毎日あいかわらずふざけながら笑って暮らした