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  • 30歳差で愛しあった彼が、私に向かって最後に言い放ったひとこと | 短くも濃い日々の果てに残ったものは…

    祖母と孫ほどの年齢差がある男性に惹かれた筆者。二人の距離は徐々に縮まり、その関係は分かち難いものになっていく。 この記事は、愛をテーマにした米紙「ニューヨーク・タイムズ」の人気コラム「モダン・ラブ」の全訳です。読者が寄稿した物語を、毎週日曜日に独占翻訳でお届けしています。 私は彼の両親より年上 エレベーターから出てきた彼は、そのまま私の人生に踏み込んできた。デザイナーズジーンズに包まれたスラリと長い脚。その笑顔、その髪、そしてその身体──ああ、その身体といったら。 きっかけは、彼の貸し倉庫の広告を見た私が連絡したことだった。本来なら5分で終わる関係だったのに、気づけば8時間に。いや、正確には、その後8ヵ月間を彼と一緒に過ごすことになる。 当時の私はトロントを拠点に、ライターとジャーナリストとして活動していた。彼はイランから留学中の医学生。イスラム教徒で、私よりもずっと若かった。その年齢差と

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    • カナダが「医療介助死」を世界最速のペースで実行できている理由 | 「尊厳ある死」を求めて

      「安楽死」「尊厳死」とも呼ばれてきた医療介助死が認められているカナダ。そのなかでも、世界に類を見ないペースで実施件数が増加しているのがケベック州だ。医療介助死をめぐる新法が採択されたばかりのケベックではいま何が起きているのか。英誌「エコノミスト」が現地を取材した。 サンドラ・デモンツィニーは、筋骨たくましかった父が若年性アルツハイマー病のせいで、ボロボロの抜け殻に様変わりするを目の当たりにした。 ひとたび病に冒されると、父はエネルギーを制御できず、歩いて壁にぶつかったり、あてどなく床を這いずり回ったりするばかりだった。父は53歳で亡くなった。死に顔には苛立ちの涙のすじができていた。 デモンツィニーは39歳のとき、父と同じ致死的な神経変性の病にかかっていると診断された。だが、父と同じ尊厳を奪われた死に方には甘んじまいと誓った。 そんな死に方はしないとわかって、いまは安心している。カナダのケベ

        カナダが「医療介助死」を世界最速のペースで実行できている理由 | 「尊厳ある死」を求めて
      • BYDが発表した急速充電技術で、EV競争に終止符は打たれたのか? | わずか5分で400キロ走れる充電が業界に激震を走らせた

        BYDは完全勝利なのか? テスラのライバルであり、ウォーレン・バフェットが支援する中国のBYDが、世界の自動車業界を揺るがした。BYDは新たな充電システム「スーパーEプラットフォーム」を発表。わずか5分間充電するだけで、400キロメートルの走行が可能になるという。 この発表により、BYDはEV業界におけるバッテリー開発競争の最前線に躍り出た。ガソリン車と同時間で充電を完了できるEVバッテリーの開発は、業界全体の課題となっていた。 これに先駆けて、数週間前、BYDは廉価版を含む大部分のモデルで、自動運転「レベル2+」相当の先進運転支援システム(ADAS)を標準搭載すると発表し、業界を驚かせたばかり。EVの開発競争で、BYDは完全勝利を宣言したと言えるのだろうか。 BYDの新技術とは? BYDが発表した新しいプラットフォームは1000キロワットの充電出力を持ち、最大1000アンペアに対応。これ

          BYDが発表した急速充電技術で、EV競争に終止符は打たれたのか? | わずか5分で400キロ走れる充電が業界に激震を走らせた
        • 戦前の「枢軸国」が国際的に孤立したのは“軍部の暴走”ではなかった | 「反共」を都合よく利用した外交官たち

          ※本記事は『日独伊三国同盟の起源 イタリア・日本から見た枢軸外交』(石田憲)の抜粋です。 都合よく使われた「反共」 1930年代の日本とイタリアにおける外交官が対外政策に関する反共主義の意味をどのように考えていたか、をまとめると、大別して以下の三つに分類できよう。 第一に、共産主義を対外政策上の阻害要因と規定する。これは国内問題として認識されてきた共産主義運動を国際的文脈に読み込み、たとえば自らの政策失敗に「共産主義の陰謀」論的解釈を付するものである。 第二に、戦うべき相手を策定する。これは一歩踏み込んで他国の「共産化」を防ぐため介入するという論理に利用される。 第三に、ともに戦う連帯者を探求する。そして国際的闘争の訴えは、新たな国際秩序の再編を目指す方向へと進んでいく。これら三点は、それぞれ国際連盟非難の方便、中国、スペインへの武力介入の正当化、反共的国際秩序形成に結びついている。 こう

            戦前の「枢軸国」が国際的に孤立したのは“軍部の暴走”ではなかった | 「反共」を都合よく利用した外交官たち
          • トランプファミリー風の「MAGAメイク」で米国に新コンサバ旋風が到来 | 高く・キュッと・ブロンド・日焼け肌の新コンサバスタイル

            イヴァンカやメラニアをはじめ、トランプ政権で閣僚を務める女性たちなど、トランプファミリー風の「MAGAメイク」がSNS上で話題になっている。米国女性たちの心をつかむ、彼女たちを真似した新たなコンサバスタイルとは。 MAGAメイク メイクアップアーティストのステファニー・ルイーズにとって、トランプ大統領の義理の娘ララ・トランプのメイクを担当することは、キャリアの大きな転換点だった。そのときララは、共和党全国大会の共同委員長として政治の舞台に足を踏み入れる瞬間を迎えていた。 ルイーズは「セクシーな目元ではありません、品格のある目元メイクよ!」とインスタグラムのメイク講座で呼びかけた。このメイクは大きな注目を集め、その後ララ・トランプは米メディア「フォックス・ニュース」で自身のゴールデンタイム番組を獲得した。 いま、米国女性の間で、トランプファミリーのメンバーを真似する「MAGAメイク」が人気を

              トランプファミリー風の「MAGAメイク」で米国に新コンサバ旋風が到来 | 高く・キュッと・ブロンド・日焼け肌の新コンサバスタイル
            • トランプ関税で株暴落のなか、資産を増やしていたのは…やはり「あの方」 | 「大損した」ビリオネア4人と、「勝ち残った」1人

              ドナルド・トランプ米大統領による相互関税の発表を受けて、世界中の株式市場が混乱するなか、彼の経済界の盟友たちも損失を被っている。 トランプが各国への関税率を記したボードを掲げて「解放の日」を宣言したのは4月2日。その後の2日間で、世界の富豪トップ500人の資産は計5360億ドル(約79兆円)も消えた。 そのなかでも、トランプを支援したり1月の大統領就任式に出席したりした、彼の「お仲間」大富豪たちの資産はかなり減少している。

                トランプ関税で株暴落のなか、資産を増やしていたのは…やはり「あの方」 | 「大損した」ビリオネア4人と、「勝ち残った」1人
              • 英国では「ポルノを見たいなら顔写真付き身分証明書の提示」が義務に | 各国で進む年齢確認の厳格化

                インターネットにおける性的コンテンツは長らく問題視されてきた。普通のサイトを開いただけなのに性的な広告が表示されたり、XなどのSNSをスクロールしていたらセンシティブな動画が流れてきて驚いたりといった経験をしたことがある人は、日本にも多いだろう。当然、子供たちも同じように性的コンテンツに触れているはずだ。 こうした事態に対応すべく、世界では厳しい規制を設ける国が増えつつある。 4月11日に施行された新法により、フランスではアダルトサイトで性的なコンテンツを閲覧する際、厳格な年齢確認を求められることになった。公的な身分証明書の提示を求めたり、ユーザーが顔を自撮りすれば年齢を推定できるツールを導入したりするなど、強力な年齢確認システムを利用することがポルノサイト側に義務付けられている。 米メディア「ポリティコ」によれば、この法律はまず、フランスのポルノブランドDorcelのような国内発ウェブサ

                  英国では「ポルノを見たいなら顔写真付き身分証明書の提示」が義務に | 各国で進む年齢確認の厳格化
                • 台湾人の一番好きな国は日本だが、日本は「世界で嫌われている国」の上位 | トップ15入りする理由とは?

                  日本台湾交流協会がおこなった最新の世論調査の結果、台湾人が「最も好きな国、最も親近感を持つ国、そして最も旅行したい国」のなかで、日本が1位にランクインした。 「台湾ニュース」によると、この調査は「日本台湾交流協会の委託を受け、ピアソンデータ社が2024年12月27日から2025年1月5日まで」実施したものであり、対象は20歳から80歳の台湾人だ。この調査は、2008年から定期的におこなわれている。

                    台湾人の一番好きな国は日本だが、日本は「世界で嫌われている国」の上位 | トップ15入りする理由とは?
                  • チャットボットとの頻繁な対話で孤独は軽減、それとも悪化? 意外な結果 | ボットを「友達」「恋人」とみなして大丈夫?

                    ChatGPTは全世界で約4億人のアクティブユーザーを持ち、個人的な相談や対話目的で利用する人は、日ごとに増加している。 いったいチャットボットは人々の幸福にどのような影響を与えるのか? これについてOpenAIとマサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボが実施した新しい研究が注目を集めている。 同研究では、チャットボットの使用頻度や時間と孤独感の深まりに相関関係があることなどが明らかになった。それについて米誌「フォーチュン」や「ビジネス・インサイダー」などが報じている。 一部の研究ではチャットボットとの対話が孤独の軽減に役立つ可能性が示唆されているが、同研究では「全体的に、毎日の使用頻度や時間が長いほど、孤独感、依存心、問題のある利用が増加する傾向」がみられた。

                      チャットボットとの頻繁な対話で孤独は軽減、それとも悪化? 意外な結果 | ボットを「友達」「恋人」とみなして大丈夫?
                    • カズオ・イシグロ「ディランとキューブリックを意識的に真似してきた」 | 彼が「変化しつづける作家」になった理由

                      「我々は自らの運命をきちんと受け入れられない」 私がロンドンの中心部にあるカズオ・イシグロのマンションを訪れたのは、暗く冷え込んだ吹雪の日だった。家の中に招かれると、すぐに心地よい静けさが私を包んだ。控えめの照明に、白を基調とした家具。温かくて美味しいコーヒーは、イシグロの妻ローナが映画に出かける前に淹れておいてくれたものだ。 70歳を迎え、ノーベル文学賞にナイトの称号まで持つイシグロだが、ケーキを手ずから出してくれたかと思うと、すぐにこちらを気遣うような質問をはじめる。寒くないですか? お腹は空いてないですか? 会話がちゃんと録音できるか確認しなくていいですか? ちょっとした日々の些事にまで向けられるこの細やかな気遣いは、どの作品にもあらわれている。『充たされざる者』から『日の名残り』まで、どこまでも人の不安を煽る忘れがたい物語を、イシグロは40年にわたり生み出してきた。 だが、彼の作品

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                      • 米紙の分析「トランプ関税は自由貿易に打撃を与えるが、致命的ではない」 | 相互関税は「命取りにならない」と経済学者らが指摘

                        ドナルド・トランプ米大統領が発表した相互関税の衝撃が世界を混乱に陥れている。米国経済の規模と、世界貿易におけるその中心的役割を考えれば当然だろう。 さらに言えば、米国自らが旗振り役となってきた自由貿易体制をぶち壊そうというのだから、残された国々が面食らうのも無理はない。

                          米紙の分析「トランプ関税は自由貿易に打撃を与えるが、致命的ではない」 | 相互関税は「命取りにならない」と経済学者らが指摘
                        • 「国際連盟は共産主義」という陰謀論が戦前日本をますます孤立させた | 制裁に対する便利な“怒りの矛先”

                          ※本記事は『日独伊三国同盟の起源 イタリア・日本から見た枢軸外交』(石田憲)の抜粋です。 日本の連盟赤化論 日本外務省は、国際連盟が展開した1931年の対中国政策、イタリア外務省は1935年の連盟による対伊制裁をめぐって、ともに厳しい対応を迫られた。脱退による孤立と経済制裁による包囲をそれぞれ経験した日伊両国は、どのように国際連盟を非難したのか。 連盟を攻撃する論理の中で、重要な要素を占めたのが、「共産主義の陰謀」論であった。以下、両国外務省の政務型、交渉型双方が提示した論拠とその傾向を考察していく。 1933年3月に連盟脱退を通告した日本は、その後も技術・経済・金融分野で中国への援助を進める国際連盟に神経を尖らせていた。 当時の外務次官重光は、連盟における公衆衛生のテクノクラートであったライヒマンを名指しで「共産分子」として糾弾し、彼が後には中国政府の顧問となり、「最も効果的に……政府の

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                          • トランプの自動車関税はEV戦争におけるテスラの敵「BYDに塩を送った」だけ | 英紙の指摘─“BYD独り勝ち”の土俵は整った

                            ドナルド・トランプ米大統領が放った関税措置は、テスラにとって勝利のように見えた。保護主義の強化は、中国のライバル企業、とくにBYDが急速に勢力を拡大するなか、米国の電気自動車(EV)メーカーにとってタイミングの良い盾となるはずだった。 だがトランプはBYDの競争力を制するどころか、BYDがテスラを追い抜くために必要な優位性を与えてしまったのかもしれない。 BYDには守るべきものがない

                              トランプの自動車関税はEV戦争におけるテスラの敵「BYDに塩を送った」だけ | 英紙の指摘─“BYD独り勝ち”の土俵は整った
                            • 米国の富裕層たちは市場が混乱するとき、どう投資しているのか? | トランプ関税は米国への投資に疑念を投げかけている

                              トランプ関税は米国への投資に疑念を投げかけている 米国の富裕層たちは市場が混乱するとき、どう投資しているのか? 米富裕層、市場混乱時の投資はどうしている? 米ロードアイランド州ウォリックに住むクリス・シアンシさん(51)は米スポーツ用品大手ナイキの株式を800株以上売却した。カンザス州ウィチタのケン・ワグノンさん(86)は相場下落時に押し目買いをした。コロラド州デンバー郊外のダグ・ジョンソンさん(53)は、自身の投資ポートフォリオをチェックした後、家族旅行の選択肢を調べ続けた。 ドナルド・トランプ米大統領の包括的な関税計画、その突然の一時停止、そして中国との貿易戦争の激化により、市場はジェットコースターのようになっている。ここ数日間で、米国株式市場は7兆7000億ドル(約1100兆円)もの驚異的な損失を被った後、急激に上昇し、10日には再び下落した。長期米国債の急激な売りは、アナリストや投

                                米国の富裕層たちは市場が混乱するとき、どう投資しているのか? | トランプ関税は米国への投資に疑念を投げかけている
                              • あれほど盛り上がった「スニーカーノミクス」はなぜ終焉を迎えたのか? | 「スニーカーカルチャーは終わった」

                                世界的なスニーカー離れ 数年前にスニーカーが流行していたころ、人々はランウェイや会社でもスニーカーを履いていた。コレクターたちは最新モデルを手に入れるため、何時間も店の前に並んだり、ウェブサイトやオークションハウスに群がったりした。 だがいまでは、スニーカーショップの行列は短くなるどころか、そもそもあまりできなくなった。限定版のナイキ「エアジョーダン 1」や、アディダスオリジナルスとカニエ・ウェストの「Yeezy」など、かつては定価の4倍以上で売買されていたスニーカーが、いまでは割引価格になっている。 「スニーカーカルチャーは死にました」と話すのは、SNSで300万人以上のフォロワーを持つ「シューチューバー」ことキアス・オマールだ。スニーカーを売買する通称「スニーカーヘッズ」たちは、60億ドル規模のリセール市場の低迷を懸念している。 2023年末、フランスの「Kikikickz」やオランダ

                                  あれほど盛り上がった「スニーカーノミクス」はなぜ終焉を迎えたのか? | 「スニーカーカルチャーは終わった」
                                • 米中貿易戦争の「チキンゲーム」で習近平がトランプより優位な理由 | 自国民に苦難を強いることができる者が勝つ

                                  泥沼化しそうな米中貿易戦争。我慢くらべのチキンゲームで分があるのはトランプよりも習近平だと米紙は報じる。その理由とは──。 ドナルド・トランプ米大統領は、世界に課した関税が株式市場の売りを誘発しても、まったく意に介していないようだった。 相互関税が発動された4月9日の朝、トランプは「落ち着け! すべてはうまくいく」とSNSで米国民に告げた。 ところが、同じ日の午後に相互関税の90日間停止を発表。金融市場の混乱、とりわけ米国経済の基盤を揺るがしかねない国債利回りの急上昇を見て、トランプは慌てたのだ。 そして11日夜には、中国から輸入するスマートフォンやコンピュータなどの電子機器を相互関税の適用から除外すると発表した。 つまりトランプは、このチキンゲームの相手である中国の習近平国家主席に、ある種の譲歩を見せたといえる。 一方の習は、敵の痛いところはどこであるかを知った。 習の支持者も批判派も同

                                    米中貿易戦争の「チキンゲーム」で習近平がトランプより優位な理由 | 自国民に苦難を強いることができる者が勝つ
                                  • ちぐはぐな「反共」の論理で他国へ武力介入する日本を憂えた外交官 | 石射猪太郎の政府批判

                                    ※本記事は『日独伊三国同盟の起源 イタリア・日本から見た枢軸外交』(石田憲)の抜粋です。 ゴールポストなき「防共」条件 日伊両国が1930年代中盤より対外膨張の傾向を強めた際、反共主義はその武力介入を正当化する論拠を提供した。とりわけ中国における国民党と共産党の内戦、スペインにおけるナショナリスト派と共和国派の内戦は、反共主義を内戦介入の理論的根拠にする絶好の機会であった。 ただし、日本の場合、決定的にイタリアの場合と事情が異なるのは、侵攻時に敵対する相手が共産主義と戦う国民党政権の側となった点である。 これら中国、スペインに対する介入の研究はすでに多数存在するので、本項では、中国とスペインに直接関わった二人の交渉型外交官を取りあげ、その言動に着目することで反共主義の位置づけを異なる角度から検討したい。すなわち、同じ当時の外交官でも、本省の介入政策を交渉型外交官の視点から見た場合、権力中枢

                                      ちぐはぐな「反共」の論理で他国へ武力介入する日本を憂えた外交官 | 石射猪太郎の政府批判
                                    • ベッセント米財務長官「中国は『2のペア』で勝負しているようなもの」 | 中国政府の姿勢を批判

                                      米国のスコット・ベッセント財務長官は4月8日、貿易戦争が激化しているが米国は中国に対して大きな優位性を持っているとの見解を示した。 「中国が緊張を激化させたのは大きな過ちだと思う。彼らは『2のペア』で勝負しているようなものだ」と、ベッセントは米テレビ「CNBC」のインタビューで述べた。「中国が米国に関税をかけてきたとして、私たちが何を失うというのでしょうか? 米国が中国に輸出している量は、中国が米国に輸出している量の5分の1に過ぎません。つまり、それは彼らにとって不利な勝負なのです」 米国が輸入している品目の中には、米企業にとって不可欠な部品なども含まれるが、その影響については述べていない。 ベッセントによれば、関税の目的は貿易相手国を交渉の場に引き出し、米国内に雇用を取り戻すことにあるという。CNBCは彼の発言として「日本は交渉に前向きな国々の中で最も積極的であり、ホワイトハウスは今後さ

                                        ベッセント米財務長官「中国は『2のペア』で勝負しているようなもの」 | 中国政府の姿勢を批判
                                      • トランプ政権を怒らせるイーロン・マスクの「影の側近」とは何者か | 公に現れない「謎の男」を米紙が独自取材

                                        マスクの右腕で「政府効率化省(DOGE)」の事実上の責任者と言われるスティーブ・デービス。米紙「ニューヨーク・タイムズ」が関係者22人への取材を通して、公の場にはほぼ姿を現さないその謎めいた人物像に迫った。 「常軌を逸している」──2025年2月、イーロン・マスクは米連邦政府をこう非難した。その理由として彼があげたのは、社会保障番号を持たない個人に年間1000億ドル(約15兆円)がムダに拠出されているという根拠のない話だった。 マスクのこの発言から2日後、彼の右腕と目されるスティーブ・デービス(45)は、社会保障局の幹部に詰め寄った。連邦政府の支出削減などを担当する「政府効率化省(DOGE)」の若いエンジニアに、機密情報を含むデータベースへのアクセス権を与えるように要求したのだ。 デービスの要求は「前例のないものだった」と、元同局職員のティファニー・フリックは話す。さらに彼女は、「社会保障

                                          トランプ政権を怒らせるイーロン・マスクの「影の側近」とは何者か | 公に現れない「謎の男」を米紙が独自取材
                                        • トランプ関税のせいで、中国発「輸出の津波」が世界中を襲うかもしれない | 止まらない工場建設、落ち込む消費

                                          住宅を捨て工場へ 数十年にわたり、世界最大の自動車工場はドイツ・ヴォルフスブルクにあるフォルクスワーゲンの工場だった。それが現在では、中国の電気自動車メーカーBYDが、ヴォルフスブルクの2倍の生産能力を持つ工場を中国国内に2つ建設中だ。 中国人民銀行の最近のデータによると、過去4年間で国有銀行は産業部門への融資を1.9兆ドル(約285兆円)増やしている。中国各地の都市周辺では、昼夜を問わず新工場が建設され、既存の工場もロボットや自動化でアップグレードされている。 こうした中国の製造業への投資が、世界中で工場閉鎖や失業を引き起こしかねない「輸出の波」を生み出しているのだ。バイデン政権下で米国通商代表部の代表を務めたキャサリン・タイは、「この津波は、どの国にも襲いかかるだろう」と予測する。

                                            トランプ関税のせいで、中国発「輸出の津波」が世界中を襲うかもしれない | 止まらない工場建設、落ち込む消費
                                          • 大阪万博は海外メディアから意外にもポジティブな評価が多かった | 「世界の厳しい現実に正面から向き合っている」

                                            55年ぶりの大阪万博 「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとする大阪・関西万博が2025年4月13日に開幕した。158の国と地域、7つの国際機関が参加し、社会課題の解決に向けた次世代の技術や、伝統、文化などを半年間にわたってアピールしていく。 万国博覧会の開催は、日本にとって20年ぶり、大阪では55年ぶりとなる。前回の大阪万博には6400万人が訪れ、現在も記念公園に残る「太陽の塔」や、アポロ12号が持ち帰った月の石を見ようと多くの人が集まった。

                                              大阪万博は海外メディアから意外にもポジティブな評価が多かった | 「世界の厳しい現実に正面から向き合っている」
                                            • 英紙が注目「世界的AIブームのなかで意外な“勝者”になった日本企業」 | 対EVでは伸び悩んだが…

                                              「人工知能(AI)開発」と聞くと、米国と中国による、次なる最上位モデルの構築を目指した熾烈な争いを思い浮かべるかもしれない。実際、2024年に発表された主要なAIモデル数は、米国(40)が最も多く、次に中国(15)、フランス(3)が続いているという。 そんななか、英経済紙「フィナンシャル・タイムズ」は、世界的なAI競争の裏で、静かに業績を伸ばしている日本企業に注目。ソフトウェアではなく、AIを稼働させるための「物理的なインフラ」に関わる企業として、ニデック、山洋電気、村田製作所の三社の名前を挙げた。

                                                英紙が注目「世界的AIブームのなかで意外な“勝者”になった日本企業」 | 対EVでは伸び悩んだが…
                                              • 史上最長「25時間5分の演説」議員が排尿を我慢するためにしていた壮絶準備 | 専門家「泌尿器科にかかるべき」

                                                2025年3月31日夜、ニュージャージー州選出の米民主党上院議員コリー・ブッカーは、ドナルド・トランプとその政権が米国に与えた悪害を糾弾するため、演台に立った。 「我が国は危機に瀕している」と訴え、トランプ政権発足から71日間の経済的混乱に、大量解雇、専制的行為を非難した。ブッカーの演説は25時間5分間続き、米上院史上最長の演説となった。 多くの人が、心を奮い立たせるブッカーの政治的行為を称賛した。だが、なかには彼の身体的偉業に感銘を受けた人もいた。 彼は演説中、25時間以上にわたって一度もトイレに行っていないのだ(ブッカーの代理人は、米オンラインメディア「TMZ」に対し、スピーチ中、ブッカーはオムツもしていなかったことを認めている)。 その後、ブッカーは記者団に対し、この演説のために何日もかけて絶食し、意図的に脱水症状を起こしたと語った。 「たしか金曜日には食事を止め、(演説の始まる)月

                                                  史上最長「25時間5分の演説」議員が排尿を我慢するためにしていた壮絶準備 | 専門家「泌尿器科にかかるべき」
                                                • 「味は4割です」 米国で「雰囲気重視」の飲食店が増える切実な理由 | 料理メニューよりも「グッズ制作」が先だ!

                                                  料理メニューよりも「グッズ制作」が先だ! 「味は4割です」 米国で「雰囲気重視」の飲食店が増える切実な理由 ラミレスの経営する飲食店「パパ・サン」では従業員がオリジナルグッズを着用している Photo: Lanna Apisukh / The New York Times

                                                    「味は4割です」 米国で「雰囲気重視」の飲食店が増える切実な理由 | 料理メニューよりも「グッズ制作」が先だ!
                                                  • AIが過去をねつ造し「エセ考古学」に加担する未来はもう始まっている! | デジタル考古学者が解説

                                                    生成AIの影響は考古学の世界にも及んでいる。だがこうした技術を駆使して過去を再現することには大きなリスクがともなう。デジタル考古学を専門とする英国の学者コリーン・モーガンが、その問題点と可能性について解説する。 生成AIは現代そのものと目されることが多く、未来的とすら思われるときもある。われわれは生成AIを使って、新たな芸術や技術を発明したり、新たに得られたデータを分析したり、人や場所やモノをシミュレートしたりもできる。 だが興味深いことに、それはわれわれが過去をどう見るかにも影響を及ぼしている。AI画像はすでに、ネアンデルタール人をめぐる学術的な発見を紹介する一般向けの記事などで図解に使われている。 ある博物館では、中石器時代(約9000〜4300年前)をアニメ化するのに利用されている。 TikTokユーザーたちは、考古学や歴史についてのリアルなショート動画を作るためにAI画像を使ってい

                                                      AIが過去をねつ造し「エセ考古学」に加担する未来はもう始まっている! | デジタル考古学者が解説
                                                    • ヒトラー「青少年と国民に、闘いのみが我らを救うと植えつけろ」 | 国家と民族への反逆に死を

                                                      ※本記事は『ヒトラーとナチ・ドイツ』(石田勇治)の抜粋です。 「がんのような民主主義」 その2日後の2月3日、ヒトラーは、ヒンデンブルクの信頼が厚く、その強い要請で入閣した国防大臣ヴェルナー・フォン・ブロンベルク(1878~1946)の招きで、陸海軍司令官を前に、新政府の任務と課題について、2時間に及ぶ非公開の演説を行った。このときは草稿がなく即興のスピーチだったといわれる。 聴衆のひとり、クルト・リープマン(1881~1960)中将が書き留めたメモを手掛かりに、ヒトラーがここでおよそ何を伝えたのか、再構成してみよう。 まずヒトラーは、新政権のねらいは「政治的権力を取り戻すこと」にあると述べた。リープマンのメモには、どこから取り戻すのか書かれていないが、おそらく議会勢力からということだろう。それに続けて、以下のように内政、外交、経済、そして軍の今後のあり方へと話を進めた。 1 内政では、国

                                                        ヒトラー「青少年と国民に、闘いのみが我らを救うと植えつけろ」 | 国家と民族への反逆に死を
                                                      • ヒトラーが模範とした“質実剛健”なスパルタは、どのような体制だったのか | 厳格な身分制と軍事教育

                                                        ※本記事は『スパルタを夢見た第三帝国 20世紀ドイツの人文主義』(曽田長人)の抜粋です。 質実剛健のポリス 古代のスパルタはギリシアのペロポネソス半島南部、ラコニア地方に存在した。ギリシア神話の英雄ヘラクレスの子孫が北方から帰還してスパルタに移住した、ということが伝えられてきた。 スパルタは自立したポリスとしては、前8世紀から前2世紀にかけて存立した。前6世紀から前4世紀にかけてはペロポネソス同盟の中心としてギリシア最強の軍事力、質実剛健を誇った。スパルタ建国の祖で立法者のリュクルゴスが国制を規定したと言われ、それが長年、維持されるに至る。 以下、身分の三層構造、スパルタ市民の教育、自給自足体制、文学に詠われた軍事面での活躍という四つの観点から、スパルタのあり方をまとめてゆく。 身分の三層構造 スパルタの構成員は、以下の三つの層に分かれていた(古代の慣例により、女性や子供はその構成員に含ま

                                                          ヒトラーが模範とした“質実剛健”なスパルタは、どのような体制だったのか | 厳格な身分制と軍事教育
                                                        • 299人を犯した「小児性愛」外科医が綴り続けた「日記」のおぞましい中身 | 「私は小児性愛者、それをとても喜ばしく思う」

                                                          299人に対するレイプと性的虐待の罪で起訴されているフランス人外科医ジョエル・ル・スクアルネック。2025年2月24日から始まった裁判では、彼が長年にわたって記録し続けていた、犯罪と妄想の日記──「黒いノート」の内容が明かされた。 紙には、「読まずにすべて破壊すること」とだけ書かれるはずだった。そしてその紙は3、4台のハードディスクとUSBメモリの上に置かれ、子供たちは父親の死後、それを見つけるのだ。もちろん、彼らは父親の遺志に従ったことだろう。 ところが、2月24日以降、USBメモリとハードディスクは密閉され、フランス西部の街バンヌにある刑事裁判所の法廷前の大きな容器に入れられている。 ジョエル・ル・スクアルネック医師(74)は299人の被害者(そのほとんどが被害当時未成年者)に対するレイプと性的暴行の罪に問われている。この外科医が30年間密かにつけていた「日記」がそこに納められているの

                                                            299人を犯した「小児性愛」外科医が綴り続けた「日記」のおぞましい中身 | 「私は小児性愛者、それをとても喜ばしく思う」
                                                          • 英紙の指摘 日本こそトランプ関税時代の「生存戦略」を知っている国だ | 生き残るために「捨ててきたもの」とは

                                                            トランプ2期目の発足により、世界の経済成長を支えてきたグローバル化が危機に瀕している。英経済紙「フィナンシャル・タイムズ」は、この激動の時代を生き残るため、明治維新と戦後復興という二つの転換期を乗り越えた日本の「生存本能」に注目すべきだと論じている。 あの素晴らしきグローバル化が、明らかに揺らいでいる。 政治指導者や企業の経営トップ、米政治学者フランシス・フクヤマの著書『歴史の終わり』(自由民主主義が広がれば、安定した政治体制が作られて歴史は終わると説いた)を支持した歴史家が行動原理としたこの概念は、長きにわたって世界に君臨し、その役目をみごとに果たした。 ところが昨今、米国のJ・D・バンス副大統領は「安い労働力は麻薬」と移民を非難し、彼のボスであるドナルド・トランプ大統領は関税を至高の美とあがめている。「チャンスがあふれる世界の実現」を謳った英金融大手HSBCホールディングスのマーク・タ

                                                              英紙の指摘 日本こそトランプ関税時代の「生存戦略」を知っている国だ | 生き残るために「捨ててきたもの」とは
                                                            • 96歳の草間彌生が、オーストラリアで記録的な成功を収めたワケ | 入場者数はゴッホ超え!

                                                              オーストラリアのメルボルンにあるビクトリア美術館(NGV)で開催中の草間彌生展が、同国史上最も多くの来場者を記録した有料美術展になったと、英「ガーディアン」紙が報じた。同紙によれば、わずか4ヵ月で来場者数は48万人を超え、2017年にNGVで開催された「ゴッホと四季展」の46万2262人を大きく上回る記録となった。 物価が高騰するなかで、なぜ草間彌生展は美術館にこれほどの人を集めることができたのか。

                                                                96歳の草間彌生が、オーストラリアで記録的な成功を収めたワケ | 入場者数はゴッホ超え!
                                                              • 400年の郵便の歴史に幕… 手紙の配達「廃止」のデンマークが進む未来 | 郵便物の減少、民営化、高額の切手

                                                                デンマークの国営郵便サービス「ポストノルド」が、2025年3月6日、手紙の配達の廃止を発表した。 米「AP通信」によると、ポストノルドは2025年いっぱいで手紙の配達サービスを廃止し、小包の配達に専念するという。デンマーク全土にある約1500の郵便ポストも年内に撤去され、手元の切手は払い戻しに応じる。 デンマーク紙「ポリティケン」は、「かつて、住民と郵便配達員はファーストネームで呼び合う親しい間柄だった。おしゃべりをしたり、ときにはキッチンで一緒にコーヒーを飲んだりすることもあった」と懐かしみながらも、「この展開は自然なことだと言える」と伝える。

                                                                  400年の郵便の歴史に幕… 手紙の配達「廃止」のデンマークが進む未来 | 郵便物の減少、民営化、高額の切手
                                                                • 関税パニックでいま米国人が買いだめしている「8つのモノ」 | 日本のあの食品も

                                                                  世界のほとんどの国に対し、「相互関税」が課されたかと思えば、翌日には「一時停止」し、一方で中国に対しての関税率はどこまでも上がり続けている……。そんな国のトップに振り回される米国民はいま、それぞれの「必需品」の買いだめに忙しいようだ。 「カートに追加」、「カートに追加」、「急いでカートに追加!」 ペーパータオル、食器用洗剤、オリーブオイル、ワインも全部……。不確定な未来に備えて(とはいえ、ほぼ間違いなくすべてが値上がりすることは想像できる)、トイレットペーパーの買いだめや家庭菜園について考え、身を縮めていたのはつい5年前のことではなかったか? この1週間で、私たちはその時代に戻り、お金と正気を守る方法をなんとか見つけ出そうとしている。今回は伝染病のせいではない。選挙公約のせいだ。ドナルド・トランプの「相互」貿易障壁の撤廃という公約の実現が、他国からの報復を招いた。 その結果、もたらされたの

                                                                    関税パニックでいま米国人が買いだめしている「8つのモノ」 | 日本のあの食品も
                                                                  • 「自分の持つ読者の感情を掻き立てる力は、かなり胡散臭いものだと感じる」 | 作家を不安にさせる社会の現状

                                                                    「自分は優れた散文作家であったことなどない」 最近、映画『名もなきもの/A COMPLETE UNKNOWN』でティモシー・シャラメ演じるボブ・ディランを観たというイシグロは、ディランは自分がアコースティックギターではなく(エレキギターの)ストラトキャスターを選ぶことで、どれほどの驚愕を引き起こすか意識していたのだろうか、それは彼のある種の無邪気さが発揮された結果だったのだろうか、と疑問を口にした。 「私にはまったくわからないんです。ディランの心は読めませんね」 自身の作品のスタイルが変わってきたことに関しては、単に「より内面的なものを追求してきただけです。『裏切り者』と呼ばれてやろうと思って狙ったわけじゃないですよ」とのことだ。 怒れる群衆がイシグロに挑みかかるというのは想像しがたい。どんなときも丁寧かつ控えめというだけでなく、自己欺瞞と矛盾に陥る人間の性を描くことについては一貫している

                                                                      「自分の持つ読者の感情を掻き立てる力は、かなり胡散臭いものだと感じる」 | 作家を不安にさせる社会の現状
                                                                    • サンダースとオカシオ・コルテスの反トランプ政治集会が全米各地で盛況 | 莫大な額の寄付金も集める

                                                                      いま全米最大の政治集会を各地で開いて脚光を浴びているのは、政治キャリアが終盤に差しかかった83歳の上院議員と、その弟子である35歳の下院議員だ。 ロサンゼルスでの集会には、およそ3万6000人が参加。デンバーでの集会には、3万4000人以上が参加。カリフォルニア州サクラメント近郊での集会には、3万人ほどが参加した。 主催者発表で計20万人以上にもなる観衆が集まり拍手喝采を送っているのは、「寡頭政治と闘う」ツアー中のバーニー・サンダース上院議員(無所属)とアレクサンドリア・オカシオ・コルテス下院議員(民主党)が語る激烈な反トランプ、反億万長者のメッセージだ。 サンダースは4月12日、野外音楽フェス「コーチェラ」にも登場し、観客たちを驚かせた。 民主党が活気を取り戻そうと模索するなか、このふたりの進歩主義者がその火付け役を担っている。ドナルド・トランプ大統領の返り咲き以来消えていた闘魂を、打ち

                                                                        サンダースとオカシオ・コルテスの反トランプ政治集会が全米各地で盛況 | 莫大な額の寄付金も集める
                                                                      • リンダ・グラットン「『ワーク・シフト』で予測した2025年を迎えて」 | いまだから聞きたいことをインタビュー

                                                                        予測した2025年を迎えて ──グラットンさんは、著書『ワーク・シフト─孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉』(2012年)で2025年の働き方を予測しました。2025年を迎えたいま、どの点が予測より進んだと思いますか。また、どの点が予測に反して進まなかったでしょうか。 未来を一本道で予測するのはもちろん簡単ではありません。だから『ワークシフト』で私は、ポジティブなシナリオとネガティブなシナリオを想定しました。 ポジティブなシナリオは、みんなの力で大きな仕事をやり遂げるコ・クリエーション、社会への積極的な関与、ミニ起業家の活躍が進むというものです。 ネガティブなシナリオは、社会が断片化し、人々が孤立し、疎外が進むというものです。 悲しいことに、私はポジティブなことよりもネガティブなことを予測するのに長けていたようです。あの本を書いた当時でも、断片化、孤立、疎外が進みつつありま

                                                                          リンダ・グラットン「『ワーク・シフト』で予測した2025年を迎えて」 | いまだから聞きたいことをインタビュー
                                                                        • 英紙「日本文化である『居酒屋』は、いま、岐路に立っている」 | 伝統的な居酒屋の時代は終わりに近づいている…

                                                                          日本独特の居酒屋文化 東京・新橋界隈にある商業ビルの地下では、中年サラリーマンたちが和食の大皿や生ビールのジョッキを次々と注文している。彼らは炭火焼き鳥や枝豆を頬張っては、熱燗を酌み交わす。新たな客のグループが訪れるたびに、「いらっしゃいませ!」という掛け声が出迎える。 つい最近まで、新型コロナ対策として導入された時短営業やアルコール提供禁止によって、居酒屋は普段ならもっとも賑わう時間帯に店じまいせざるを得なかった。居酒屋とは、小ぢんまりとした焼き鳥店から、メニューが数ページにも及ぶ広々とした大型店まで、店の規模はさまざまだが、いずれもくつろいでお酒を楽しめる飲食店だ。 パンデミックは終息したが、日本全国に何千とある居酒屋はいま、コストの高騰と需要低迷という二つの新たな脅威と戦っている。 居酒屋はよく「日本式パブ」と称される。提供される料理の豊富さを考えるとやや的外れだが、そんな居酒屋の廃

                                                                            英紙「日本文化である『居酒屋』は、いま、岐路に立っている」 | 伝統的な居酒屋の時代は終わりに近づいている…
                                                                          • 「新しい自分になるために、まずは小さな行動から変えていきましょう」 | 岸見一郎 25歳からの哲学入門

                                                                            【今回のお悩み】 「誰も自分のことを知っている人がいない新しい環境で、新しい自分になろうとするのに、すぐにいつもの自分になってしまいます。どうしたら、自分の行動(発言)を変えることができますか?」 入学・入社など、新しい生活が始まる4月。新しい環境に飛び込むのはちょっと緊張するけれど、「新しい自分」になって対人関係を一から築くチャンスでもあります。ところが、最初は張り切ってみるものの、時間が少し経つと結局いつもの自分に戻っている。どうしたら、自分を変えることができるのでしょうか? アドラー心理学に詳しい岸見一郎先生に聞いてみました。 入学や入社など新しい環境に入ることを不安に感じる人は多いでしょう。部署の移動、転勤なども、仕事が変わるだけでなく、新しい対人関係を築く必要があると思うと不安にならずにはいられません。 とはいえ、誰もが不安になるわけではありません。むしろ、新しい環境に期待を抱い

                                                                              「新しい自分になるために、まずは小さな行動から変えていきましょう」 | 岸見一郎 25歳からの哲学入門
                                                                            • 104%の関税を米国に課されても中国が強気な姿勢を崩さない理由 | 「我慢比べならば、中国は負けない」

                                                                              米国のドナルド・トランプ大統領が4月2日に発表した「相互関税」が、米国東部時間の9日午前0時より発動した。日本には24%の関税が課される。 中国には34%の関税が課されると発表されたが、すでに20%の関税が発動していたので、中国から米国へ輸入される物品には最低54%が課されることになっていた。 この動きに対して中国は、米国からの輸入品に34%の報復関税を課すと反発。するとトランプ政権は8日、中国がその報復措置を撤回しなければ、50%の追加関税を課すと発表した。これにより中国への相互関税は最低104%になってしまったのだ。 9日、トランプ政権は、相互関税に対する報復措置をとらない国々に対しては相互関税の発動を90日間停止し、その間は関税率を一律10%に引き下げると発表。一方、報復措置をとっている中国に対しては、追加関税を125%に引き上げるとした。 相互関税を課されると通告された各国がトラン

                                                                                104%の関税を米国に課されても中国が強気な姿勢を崩さない理由 | 「我慢比べならば、中国は負けない」
                                                                              • グリーンエネルギーに走るなか、“地球の裏側”のことは顧みられているか | 特需に沸く業界が地元に背負わせる代償

                                                                                消えた水 4400メートルを超えるペルーのアンデス山脈に位置するコントンガ湖の湖岸には、冷たい風が吹きつけていた。この付近にあるチャルウアヤコ村のフリオ・リマク・デミアンは、足元の泥を指さしながらこう言った。「昔はここまで水があり、村まで流れてきていました」 低地にある村と湖をつなぐ運河もまた干上がっていた。デミアンによると、採掘会社がペルー高地で試掘を開始した2年前から、水が消えてしまったのだという。 「これは私たちにとって悲劇です。私たちはその水を利用して生きていました」とデミアンは語る。 コントンガ湖の向かいには、世界最大級の亜鉛鉱山であるアンタミナがある。露天掘りでは銅、銀、鉛、モリブデンも産出し、BHPビリトン、グレンコア、テック・リソース、それに日本の三菱など世界の鉱業会社が出資した多国籍企業により操業されている。 筆頭株主のグレンコアはスイスに拠点を置く企業で、世界の鉱物市場

                                                                                  グリーンエネルギーに走るなか、“地球の裏側”のことは顧みられているか | 特需に沸く業界が地元に背負わせる代償
                                                                                • 教皇フランシスコが変えられなかった「カトリック教会の組織的な罪」 | 賛辞に混じる不協和音

                                                                                  2002年、米地方紙「ボストン・グローブ」が、地元カトリック教会に蔓延していた児童性的虐待を暴露する一連の記事を出し、教会の恥ずべき秘密にスポットライトを当てた。その後、この調査報道に基づいた『スポットライト 世紀のスクープ』という映画も作られた。 そのスクープから11年後、フランシスコが教皇になった。虐待が続々と発覚し、カトリック信徒の内外に怒りや反感が高まるなか、バチカンは対応に追われた。この問題がフランシスコの教皇職に差し障り続け、外国訪問にも大きく響いた。 フランシスコは問題の大きさと組織的な性質をなかなか理解しようとせず、虐待者たちや虐待を隠蔽した者たちを処分すべく断固とした行動をとることにも乗り気ではないようだった。 4月21日、フランシスコが死去して数時間のうちに盛大な賛辞が世界中から寄せられたが、聖職者による性的虐待の被害者たちの声は、そうした賛辞のなかで不協和音を奏でるも

                                                                                    教皇フランシスコが変えられなかった「カトリック教会の組織的な罪」 | 賛辞に混じる不協和音