「人口ボーナス」、「人口オーナス」という言葉は、しばしば誤用される。たとえば、「人口が増えれば、国民生活は豊かになる」、「人口が減れば、国民生活は貧しくなる」は、単純にすぎ、ミスリーディングだ。 考えてもみよう。どの国も、出生率が高まり、人口が増える時こそが苦しい。より多くの子どもを一人の大人が支えなければならないからだ。 日本も戦争直後はそうだった。戦争で貴重な働き手を失う一方で、団塊世代が多く生まれた。彼らをどう養っていくかが、国の大きな課題だった。1950年代には、中南米への移民も再開されている。移民は、戦前だけのものではない。 重要なのは、総人口に占める働き手の人口の比率である。国民の豊かさ(国民一人当たりのGDP)は、この比率に比例する。同比率の上昇局面が本来の「人口ボーナス期」、低下局面が本来の「人口オーナス期」に当たる。 簡単な例で確認してみよう。参考1は、働き手の年齢層を2