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ele-kingの検索結果241 - 280 件 / 902件

  • Aphex Twin×NINTENDO64 | ele-king

    これはおもしろい。ずばりエイフェックス・ツインのカヴァー集なのだけれど、ただのそれではない。なんと、ニンテンドウ64の音でリメイクされているのだ。ほとんどの曲で用いられているのは『スーパーマリオ64』(96)のサウンドフォントらしいのだけれど、一部『ゼルダ』(『時のオカリナ』?)や『バンジョーとカズーイの大冒険』(98)からのものも含まれているとのこと。クリエイターは on4word なる人物。初夏にはおなじ手法でレディオヘッド『OKコンピューター』のカヴァーに挑戦してもいる。アイディアの勝利。 https://on4word.bandcamp.com/album/selected-aphex-works-n64

      Aphex Twin×NINTENDO64 | ele-king
    • interview with Young Fathers | ele-king

      photo by Jordan_Heming 上から今回取材に応じてくれたアロイシャス・マサコイ、グレアム・ヘイスティングス、ケイアス・バンコール ロックが培ってきた実験精神と、ゴスペルやR&Bといったブラック・ミュージックが育んできた大衆性、その最良の結合──エディンバラの3人組、全員がヴォーカルをとるヤング・ファーザーズの魅力といえばそれに尽きる。ソウルを愛する文化がアメリカ以上に深く根づいている、イギリスだからこそ出てくる音楽だろう。 2010年代前半、LAの〈Anticon〉から浮上しエクスペリメンタルなヒップホップ・サウンドを展開していた彼らは、ファースト『デッド』(2014)でマーキュリー・プライズを受賞するとヒップホップ色を薄め、徐々にポップな要素を増大させていった。クラウトロックの冒険心をとりいれたセカンド『白人も黒人だ』(2015)やその延長線上にあるサード『ココア・シュ

        interview with Young Fathers | ele-king
      • interview with Mitsuru Tabata | ele-king

        ボアダムス、ゼニゲバ、アシッド・マザーズ・テンプル......いずれも日本国内にとどまらず世界的な規模で活動しているバンドであり、欧米で高く評価されているバンドだ。そしてこの3バンドにはひとつの共通点がある。それが、今回紹介する田畑満というギタリストである。ボアダムスのオリジナル・メンバーであり、現在もゼニゲバ、アシッド・マザーズ・テンプル アンド・ザ・コズミック・インフェルノに在籍、それ以外にも数限りないバンド/ユニットに参加して毎日のように世界のどこかで演奏している。 まずは彼のプロフィールを紹介しよう。80年代前半にレゲエ・バンド「蛹」でデビュー。「関西ノー・ウェイヴ」などと呼ばれ盛り上がりを見せていたポスト・パンク/ニューウェイヴ・シーンの影響を浴びながら、和風ニューウェイヴとでも言うべき奇異なバンド「のいづんずり」に参加、ほぼ時を同じくして当時ハナタラシでの活動悪名高かった山塚ア

          interview with Mitsuru Tabata | ele-king
        • 春を彩るダンス・ミュージック7枚 | ele-king

          野球を観に行った。ひとごみが好きなタイプではないけど、ごった返しの状態になるのもひさびさだったので、なんというか戻ってきたな、と。来る4月もじょじょにフェス、イヴェント、あるいは単なる音楽好きが集まる会やらで予定が埋まりつつあることを思うと、いよいよ始まったと思わされる。でも、始まりあれば終わりあり。同時に渋谷のコンタクトは9月をもって閉店。私事で恐縮ですが僕は大学を卒業し、ここでも一区切りつきました。終わりは嫌だなあ。でも、パーティはみんな終わるとわかっているから、その瞬間をほんとうに楽しめるのだと、これは納得できるとてもいい言葉だね。始まりと終わりはセットでつながっていると思う。僕がいまでも忘れられないDJのいくつかも、終わった悲しさありつつ次への予感も匂わせてくれるようなプレイだ。一直線のときを過ごしたというより、ループしているような感覚。まるでJディラのドーナツみたいに。 とまれ、

            春を彩るダンス・ミュージック7枚 | ele-king
          • Ulla | ele-king

            フィラデルフィアを活動拠点とするウラ(ウラ・ストラウス)は、ここ数年のアンビエント・ミュージック・シーンを振り返るとき、欠かすことのできない重要なアーティストである。 ウラはセンセーショナルな「新進気鋭のアーティスト」として華々しく登場したわけではない。10年代末期にマイナー・レーベルからひっそりと作品をリリースし、そのサウンドの魅力によって、いつのまにか多くのリスナーを獲得していったのだ。そして今や2020年代を担うアーティストの一人にまでなった。本当にすごいことだと思う。 2022年にリリースされた新作『Foam』では、これまでのアンビエント/ドローンを基調としたサウンドから脱して、ループとグリッチ・ノイズをミックスするエレクトロニカへと変化した。その音はアコースティックとグリッチ・ノイズが交錯する00年代エレクトロニカ・リヴァイヴァルのようでもあり、心を沈静するようなミニマル・ミュー

              Ulla | ele-king
            • 坂本龍一 | ele-king

              三田格 どうしてそうなったのか覚えていないのだけれど、大学生だった僕と小山登美夫は、その日、新宿アルタのステージにいた。映画『戦場のメリークリスマス』のプロモーション・イヴェントで、僕たちは「戦メリ」に夢中な若者たちという設定でステージ上の椅子に座っていた。2人ともまだ映画は観ていなくて、要するにサクラだった。ステージには30人ぐらいが3列に分けて座らされ、僕らから5席ほど右に坂本さんがいた。前口上のようなものが長くて、僕らは多少、緊張していたけれど、坂本さんはとっくに飽きてしまったらしく、やたらと目でこちらに合図を送ってくる。最初はなんだかわからなかった。坂本さんは視線をこっちに向けながらひっきりなしに眉毛を上下させている。もちろん面識はない。初対面というか、ただ近くにいるだけである。『戦場のメリークリスマス』という映画の意義が語られ続けているなか、坂本さんの眉毛は上下し続ける。僕も小山

                坂本龍一 | ele-king
              • Kendrick Lamar | ele-king

                Top Dawg Entertainment /Interscope Records/ユニバーサル 野田努 Sep 21,2022 UP はっきりさせておきたい。私たちがラッパーに求めるのは、政治的な一貫性、明快さ、方向性、指示などではなく、むしろ肌の色を超えたアメリカの日常生活の当たり前の泡沫の表面に、目に見える分裂病の亀裂を生み出している精神的圧力の本質なのだ。 ——グレッグ・テイト BLM熱の余韻がまだ残る昨年の7月、『The New Yorker』に掲載されたイシュメール・リードの長いインタヴュー記事において、彼は現代の反レイシズムを「新しいヨガ」と、反骨とユーモアの作家に相応しい言葉で揶揄している。1938年生まれ、マルコムXにインタヴューしたことで60年代はNYに移住、しかしブラック・ナショナリズムともブラック・アーツ・ムーヴメントとも袂を分かち、黒人男性は暴君だというステレオ

                  Kendrick Lamar | ele-king
                • Kruder & Dorfmeister | ele-king

                  クルーダー&ドルマイスターとはジョイントの高級ブランド名ではない、オーストリアはウィーンのふたり組、90年代の音楽におけるとっておきのカードだ。彼らがシーンに登場したのは1993年、マッシヴ・アタックの『ブルー・ラインズ』(ないしはニンジャ・チューンやモ・ワックス)へのリアクションだった。サイモン&ガーファンクルによる名作『ブックエンド』のジャケットのパロディ(だからふたりの名字を名乗ったのだが、実際リチャード・ドルマイスターがアート・ガーファンクルに似ているので、パっと見た目は『ブックエンド』と間違えそうになる)を意匠にしたそのデビューEPのタイトルは、モーツァルトからシューベルトと歴史あるクラシック音楽の街に似つかわしいとは思えない「G-Stoned」。そう、ガンジャ・ストーンド。Gは、彼らが住んでいた通り名の頭文字でもあるのだが、しかしもっとも重要なのは、どこまでもメランコリックな『

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                  • interview with Plaid | ele-king

                    ぼくはプラッドのこのアルバムを、ことさら傑作とは言わないけれど、大好きな音楽だとは言える。ぼくはときどき気を失いそうになる。2022年は『アーティフィシャル・インテリジェンス』と『セレクテッド・アンビエント・ワークス 85-92』と『UKOrb』がリリースされてから30年目だ。この30年で、世界がどれほど変わり果てたことだろうか。つまり、『アーティフィシャル・インテリジェンス』と『セレクテッド・アンビエント・ワークス 85-92』なんていうのは、いまもっとも聴きたくないアルバムなのだ。あんなにラブリーで、平和で、無邪気で、穏やかでありながら驚きもあって、不安や心配事などなく、日々の些細なことにもワクワクしているようなエレクトロニック・ミュージックなんて冗談じゃない。聴いたら泣くだろう。 だいたいブライアン・イーノのアンビエントやクラフトワークのテクノ・ポップと違って、あの時代のエレクトロニ

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                    • ゲーム音楽家インタヴュー集──プロのベテラン18人が語るそれぞれのルーツ | ele-king

                      田中 “hally” 治久+糸田屯(著) 2023/3/29 本体 2,200円+税 ISBN:978-4-910511-43-6 Amazon YMO、プログレッシヴ・ロック、テクノ、ニューウェイヴ…… いま初めて明かされる、ゲーム音楽の知られざる背景 「この国が生んだもっともオリジナルで、もっとも世界的影響力のある音楽」とまでいわれる日本のゲーム音楽。 はたしてそれはいったいどのようなバックグラウンドから登場してきたのか? 数々の名曲・名作を生み出してきた作曲家たちは何を聴いて育ってきたのか? プロのコンポーザーたちのリスナーとしての遍歴を掘り下げることで浮かび上がる、ゲーム音楽の源泉── 田中宏和/Hiro/古代祐三/細江慎治/小倉久佳音画制作所/TAMAYO/下村陽子/並木学/菊田裕樹/山岡晃/大山曜/岡素世/川田宏行/杉山圭一/竹ノ内裕治(TECHNOuchi)/中潟憲雄/山根ミ

                        ゲーム音楽家インタヴュー集──プロのベテラン18人が語るそれぞれのルーツ | ele-king
                      • Aya | ele-king

                        むむむ、これはひょっとしたら新章のはじまりかもしれない。とはいえ、その萌芽は1980年代のレーガン政権下にまで遡る。ダナ・ハラウェイという学者は現実社会がリアルであると同時に政治的なフィクションでもあるように、「女性の経験」もまたファクトでもありフィクションでもあるという意味において政治的に意義深く、そして彼女はフェミニズムを論ずるうえで、機械(サイバネティクス)と生物(オーガニズム)のハイブリッドである“サイボーグ”というタームをメタファーに使った。それからおよそ35年後の今日、女性自らが描くマシナリーかつオーガニックなヴィジョンは、じっさいのところもう何も珍しくなくなっている。 そこでマンチェスターのアヤ・シンクレア(※それまでLOFT名義で活動)による鮮烈なデビュー・アルバム『Im Hole』だが、まさにこれこそサイボーグのためのサイボーグによる音楽などとついつい喩えたくなってしまう

                          Aya | ele-king
                        • 消費税廃止は本当に可能なのか? (2) | ele-king

                          私たちが日々疑問なく支払っている消費税は本当に必要なのだろうか? とうとう10月1日から消費税が10%に上がった。今回の消費増税に関しては、社会保障を支える為に必要だという賛成意見もあり賛否両論となっているが、ちょうどこの日にタレントのロンブー敦氏がツイッターで面白いアンケートを実施していたので紹介させてもらいたい。「さぁ今日から消費税増税 8%~10%へ どうか消費が冷え込みませんように… 僕もガシガシ消費しまくります!」と添えたアンケートでは以下のような結果になっていた。 消費税0%に戻して欲しい! 45% 消費税5%に戻して欲しい! 26% 消費税8%に戻して欲しい! 5% 消費税10%は仕方ない!   25% 全属性がツイッター民であるというバイアスがあるものの、ロンブー敦氏のフォロワーは主にノンポリ層のはずで、その彼らが65,636票も投じているのだから、大変興味深いサンプルと言

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                          • R.I.P. Milford Graves | ele-king

                            ジャズ・ドラマーのミルフォード・グレイヴスが去る2月12日、難病の心疾患のために亡くなった。没年79歳。 グレイヴスは、フリー・ジャズにおいてもっとも際立ったドラマーだったのだろう。ぼくよりもひと世代上の、音楽(ことジャズ)に特別な思いを馳せている人たちはほとんどみんなグレイヴスが好きだった。間章や竹田賢一のような人たちの文章を読んでいたし、ぼくは松岡正剛さんからも話をされたことがあった。そう、だから1993年のたしか初夏だったと記憶している。土取利行が企画したライヴ公演に行かない理由はなかった。 もうひとつぼくには特別な理由があった。その年、ぼくは20代最後の1年を、大袈裟に言えば24時間テクノを聴いているような生活を送っていた。隔月で海外に行くような生活だったし、雨だろうが雪だろうが毎週末をクラブで過ごし、文字通り、寝る間も惜しんで聴いていたのではないだろうか。石野卓球との『テクノボン

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                            • interview with Zaine Griff | ele-king

                              ザイン・グリフのニュー・アルバムが完成した。前作『ザ・ヘルデン・プロジェクト // スパイズ』から1年という短いインターバルで登場した本作は、1980年代と現代が交差する複層的な構造を持った異色作となっている。 前作『ザ・ヘルデン・プロジェクト // スパイズ』も、1980年代に完成間近にもかかわらず日の目を見なかった作品をザインが一から作り直したという1980年代と2020年代が折り重なる作品だった。『ザ・ヘルデン・プロジェクト // スパイズ』の経緯とザイン・グリフの経歴については昨年の記事を参照してほしい。 この『ダブル・ライフ』もまた、1980年代の縁がきっかけで誕生したアルバムだ。 ザイン・グリフもその中心にいた1980年代初頭のニュー・ロマンティックス/フューチュアリストの代表的なユニットが、スティーヴ・ストレンジ、ラスティ・イーガン、ミッジ・ユーロらによるヴィサージだった。

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                              • CAN:パラレルワールドからの侵入者 | ele-king

                                映画『イエスタデイ』は、ビートルズのいない世界を想像してみろと、私たちに問いかける。リチャード・カーティスの、代替えの歴史の悪夢のように陳腐なヴィジョンのなかでも、音楽の世界はほとんどいまと変わらないように見え、エド・シーランが世界的な大スターのままだ。 しかし、多元宇宙のどこかには、ロックンロールの草創期にビートルズのイメージからロックの方向性が生まれたのではなく、カンの跡を追うように出現したパラレルワールド(並行世界)が存在するのだ。それは、戦争で爆破された瓦礫から成長した新しいドイツで、初期のロックンロールがファンクや実験的なジャズと交わり、ポピュラー・ミュージックがより流動的で自由で、爆発的な方向性の坩堝となり、アングロ・サクソン文化に独占されていた業界の影響から独立した世界だ。 カンのヴォーカルにマルコム・ムーニーを迎えた初期のいくつかの作品では、このような変化の過程を聴くことが

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                                • ♯4:いまになって『情報の歴史21』を読みながら | ele-king

                                  松岡正剛さんとデイヴィッド・ボウイは似ている。いや、外見の話ではないですよ。ともに読書家でともに独学者ということを言いたいわけでもない。階級社会のイギリスの、こと左派圏内では「独学」の意義も評価も日本とはだいぶ違う。ブライアン・イーノも独学者のひとりだし、本の虫で知られるアフロ・フューチャリストのサン・ラーもそう、『遊』もまた独学推奨の一面をもった雑誌だった。が、ぼくがここで問題にしたいのは、ともに「自然であることは単なるポーズ」といったオスカー・ワイルドを愛読したという共通項でもなく、つまりこういうこと──ボウイの作品においてはロックンロールもひとつの手段に過ぎず、ミュージック・ホールもエレクトロニクスもフォークもヘヴィメタルもジャズもソウルも、ヘンドリックスもディランも、ニーチェもバロウズも、歌舞伎もリンゼイ・ケンプも好きなように自在に借用する。自らを「コピーマシン」と称したこのひとこ

                                    ♯4:いまになって『情報の歴史21』を読みながら | ele-king
                                  • R.I.P. Bunny Wailer | ele-king

                                    ついにこの日が来てしまったか。2週間前にUロイの訃報を聞いたショックも冷めやらぬうちに、レゲエ史上最高のグループであるボブ・マーリー、ピーター・トッシュとのオリジナル・ウェイラーズ最後の生存者、“ジャー・B”、バニー・ウェイラー(ネヴィル・リヴィングストンOM)が浮世を去った。つまりただの訃報ではない。ひとつの歴史の終焉の知らせである。 73歳はいかにも早いし、Uロイより5歳も若い。しかし多くのファンは、そうしたことが起きはしまいかと心配していたと思う。2年前に軽い脳卒中を起こし、昨年の夏に再度の卒中に見舞われていた。その直前の5月末、彼が長年連れ添ってきた妻が失踪したニュースが報じられ、世界中のファンが心を痛めていた。その妻は、ウェイラーズのアイランドからのセカンド・アルバム『Burnin'』の「Hallelujah Time」や「Pass It On」に作曲者としてクレジットされている

                                      R.I.P. Bunny Wailer | ele-king
                                    • Larry Heard ——ラリー・ハードとロバート・オウェンス、〈トラックス〉との法廷闘争で勝利 | ele-king

                                      ビヨンセの新作はハウス・ミュージックに焦点を当てたものだったが、ハウスの故郷であるシカゴで、1980年代後半に生まれた大名曲のほとんどは〈トラックス〉レーベルからリリースされていた。しかしながら、このレーベルは早くから黒い噂に包まれていた。レコード製造のために中古盤を溶かして再利用した話はその有名なひとつで、もうひとつ有名な話は、アーティストへの印税の支払いがなく、また許可もなくがんがんに再プレスやらライセンス契約をしていたことが挙げられる。(初期のシカゴ・ハウスのシーンは、まだ業界のことなくど何も知らない純粋な若い人たちの集まりだったので、それが商売になることなど考えてもいなかった) ディープ・ハウスの先駆的作品であり、クラシック中のクラシックとして名高い“Can You Feel It?”や“I'll Be Your Friend”、あるいはアシッド・ハウスの名曲“Washing Ma

                                        Larry Heard ——ラリー・ハードとロバート・オウェンス、〈トラックス〉との法廷闘争で勝利 | ele-king
                                      • interview with Daniel Lopatin | ele-king

                                        今回のサントラは『Good Time』とはぜんぜんちがっていて、ものすごく誇りに思っている。「これが僕なんだ」という気持ちになってね。人間としての自分に近いような作品に思えたんだ。 監督は前回同様ジョシュア&ベニー・サフディ兄弟。製作総指揮はマーティン・スコセッシ。たしかに、外部の意向が大きく関与している。映画のサウンドトラックなのだから当たり前といえば当たり前なのだけれど、ジョエル・フォードしかり、ティム・ヘッカーしかり、彼は他人とコラボするとき、基本的にはOPNの名義を用いずにやってきた。そう、幾人ものゲストを招いた昨年の『Age Of』までは。だからむしろ、サフディ兄弟と初めてタッグを組んだ『Good Time』(17)がOPN名義で発表されたことのほうがイレギュラーな事態だったのかもしれない。ソフィア・コッポラ監督作『The Bling Ring』(13)もアリエル・クレイマン監督

                                          interview with Daniel Lopatin | ele-king
                                        • 音楽、人生、坂本龍一 | ele-king

                                          MOST READ interview with Sleaford Mods 賢くて笑える、つまり最悪だけど最高 | スリーフォード・モッズ、インタヴュー (interviews)Columns 創造の生命体 〜 KPTMとBZDとアートのはなし ①アーティストと薬 (columns)R.I.P. Mark Stewart 追悼:マーク・スチュワート (news)Cornelius ──2023年、私たちはあらためてコーネリアスと出会い直す。6年ぶりのニュー・アルバムとともに (news)interview with Kid Koala カナダのベテラン・スクラッチDJ、久びさにターンテーブルが主役のアルバム | キッド・コアラ、インタヴュー (interviews)OZmotic & Fennesz - Senzatempo | オズモティック (review)Gina Birch -

                                            音楽、人生、坂本龍一 | ele-king
                                          • KRM & KMRU | ele-king

                                            荒廃した都市の深淵から深く、そして重厚に響く強烈な音響。アンビエント、ドローン、ノイズ、ヴォイス、工業地帯の音、いわばインダストリアル・サウンド、そしてエコー。それらが渾然一体となって、崩壊する世界の序曲のようなディストピアなムードを醸し出している。このアルバムにおいて、ふたりの才能に溢れたアーティストが放つ音は渾然一体となり、さながら都市の黙示録とでもいうべき圧倒的な音世界が展開されていく……。 といささか煽り気味に書いてしまったが、このアルバムの聴き応えはそれほどのものであった。ザ・バグことケヴィン・リチャード・マーティン(KRM)と、〈Dagoretti〉、〈Editions Mego〉、〈Other Power〉などの先鋭レーベルからリリーするナイロビのアンビエント・アーティトのジョセフ・カマル(KMRU)によるコラボレーション・アルバム、KRM & KMRU『Disconnect

                                              KRM & KMRU | ele-king
                                            • R.I.P. Damo Suzuki | ele-king

                                              「今」だけを生ききった旅人 松山晋也 昨日(2024年2月10日)の深夜にダモ鈴木さんの訃報をツイッターで知った時、まっさきに思ったのは、やっぱりダモさんの最新インタヴューもとっておくべきだったな、ということだった。2020年秋に私の編集・監修で出た『カン大全――永遠の未来派』には、本人の回顧録『I Am Damo Suzuki』の紹介記事(崎山和弥)と、セレクテッド・ディスコグラフィ(小柳カヲル)、そして私が96年にやったインタヴュー原稿を掲載したが、総ページ数に制限があったため、最新情報までは載せられなかった。まあ、ガン治療で大変そうだと聞いていた上、インタヴューしても肝心なポイント(言葉)はだいたい予想できるという思いもあったわけだが。 ダモさんには過去4回インタヴューした。「日本でのちゃんとしたインタヴューは初めて」だと言っていた最初の取材はたぶん88年だったと思う。70年代後半か

                                                R.I.P. Damo Suzuki | ele-king
                                              • 第9回 銃口の前で踊り続ける | ele-king

                                                1 狂った夏が過ぎ、狂った秋が来た。私は人生で初めて「なぜ酌をしないのだ」と怒られ、動揺していた。 酌をしろと叱ってきたのは私の恩師であった。恩師は自分に酒を注ぐように言ったのではなく、飲み会に同席していた別の人のグラスに自分の手が届かなかったので、私に注ぐよう指示をしたのだった。それを私が「絶対に酌をしないと決めているので」と言って断ると、冒頭の通りに怒ったのである。 私は長いことこの先生にお世話になってきたが、怒られた経験はいっさいなかった。初めて怒られた驚きと、目上の人に強く何かを言われることへの単純な恐怖で、身体がうわっと固まった。酌はどうしてもしたくなかった。私は一滴も酒を飲まないし、飲み会は好きでも飲み会の規範はものすごく嫌いだ。どうして全員きっちり自分が飲みたいだけ自分で注がないのだろう? 注ぎ合いをやりたいならやりたい人どうしで勝手にすればいいが、コミュニケーションが飲酒量

                                                  第9回 銃口の前で踊り続ける | ele-king
                                                • interview with Bobby Gillespie & Jehnny Beth | ele-king

                                                  恋に落ち、恋に冷め、誰かを愛し、誰かを愛するのをやめる、誰かに愛されなくなる......人間の人生経験は、芸術的経験と同じくらい大切なものだ。 ──アンドリュー・ウェザオール ボビー・ギレスピーとジェニー・ベスによるプロジェクトのテーマが「夫婦の崩壊」だと知ったときに即思い浮かんだのは、上掲したウェザオールの言葉だった。ぼくはこれをもって本作品の解説としたいと思っているわけだが、もう少し言葉を続けてみよう。 まずのっけから世知辛い話をすれば、この無慈悲な資本主義社会で家庭などを持つことは、たいていの夫婦はつねに経済的およびメンタル的な不安定さに晒されるわけで、これがじつにしんどい。さらに家族の意味も20世紀とはだいぶ違ってきている。それに輪をかけて感情のもつれなどもあったりするから、夫婦を継続することの困難さは、年を重ねるに連れてより重くのしかかってくる。ジェンダーをめぐる洗練された議論が

                                                    interview with Bobby Gillespie & Jehnny Beth | ele-king
                                                  • Telex | ele-king

                                                    もやもやしていらいらしてすっきりしないこの時代、免疫力が下がりそう。それじゃまずいと、遊び心たっぷりの音楽を紹介しましょう。クラフトワークにドナ・サマーそしてYMOと、テクノ・ポップ時代の幕開けの時にベルギーのブリュッセルで結成されたトリオ、テレックスは、ガーディアンいわく「隠された財宝」だ。シングル「モスコウ・ディスコウ」は日本でもヒットしているのでご存じの方も少なくない。ちなみに彼らのデビュー・アルバムの邦題ってなんだったか憶えていますか? 『テクノ革命』です(笑)。しかし、これはあながちはったりでもなかったりする。 テレックスは、バンド結成前にすでにキャリアのあったミュージシャンの集合体だった。中心人物であるマルク・ムーランは、レアグルーヴ・ファンにはお馴染みのジャズ・バンド、Placeboのメンバーだった人。ダン・ラックスマンは70年代初頭からモーグを操るベルギーのシンセサイザー音

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                                                    • R.I.P. Betty Davis | ele-king

                                                      私はあなたを愛したくない なぜなら私はあなたを知っているから ベティ・デイヴィス“反ラヴソング” 時代の先を走りすぎたという人がたまにいるが、ベティ・デイヴィスはそのひとりだ。彼女については、かつてのパートナーだったマイルス・デイヴィスが自伝で語っている言葉が的確に彼女を説明している。「もしベティがいまも歌っていたらマドンナみたいになっていただろう。女性版プリンスになっていたかもしれない。彼女は彼らの先駆者だった。時代の少し先を行っていた」(*) ベティ・デイヴィスは女ファンクの先駆者というだけではない。彼女は、セックスについての歌をしかもなかば攻撃的に、鼓膜をつんざくヴォーカリゼーションと強靱なファンクによって表現した。公民権運動時代のアメリカには、ローザ・パークスやアンジェラ・デイヴィスをはじめとする何人もの革命的な女性がいた。音楽の世界においてもアレサ・フランクリンやニーナ・シモンら

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                                                      • Oneohtrix Point Never | ele-king

                                                        本作『MAGIC ONEOHTRIX POINT NEVER』は、この10年余りの間様々な作品をリリースしてきた主要プロジェクト名(OPN)がセルフ・タイトルとして冠されている通り、自己言及的で、かつ内省的な作品だ。この間のコロナ禍において、ニューヨーク在住のダニエル・ロパティンは、日に日に深刻化する感染状況に怯えながら、多くの人びとと同じように長引く自粛期間中ひたすら自宅へこもり、しばらく無為の時間を過ごしていたらしい(そのあたり、先んじて公開された本人へのインタヴューでも語られている)。好きな映画を観るのもままならず(登場人物たちが物理的に触れ合ったり、モブが登場する場面を観る気になれなかったという)、かといってもちろんオーディエンスを前にしたパフォーマンスを行なえるわけでもない。こうした期間において彼の心身を癒やしたのがネット・ラジオだった。本作は、そこで受けたインスピレーションを元

                                                          Oneohtrix Point Never | ele-king
                                                        • talking about Black Country, New Road | ele-king

                                                          Home > Columns > talking about Black Country, New Road- UKインディ・ロックから生まれた突然変異的な傑作、ブラック・カントリー、ニュー・ロードの新作をめぐって 昨年話題になったブラック・ミディも、そしてブラック・カントリー、ニュー・ロード(以下、BC,NR)も、望まれて出てきたバンドというよりも、自分たちから勝手に出てきてしまったバンドだ。いったいどうして現代のUKの若い世代からこんなバンドが出てきたのかは、正直なところ、いまだによくわかっていないけれど、とにかく突然変異が起きたと。で、そのひとつ、BC,NRという7人編成のバンドのセカンド・アルバム『Ants From Up There』について語ろう。なぜなら、これをひとことで言えば、圧倒的なアンサンブルを有した感動的なアルバムで、アイザック・ウッドの歌詞は注目に値するからだ。 野

                                                            talking about Black Country, New Road | ele-king
                                                          • interview with Superorganism | ele-king

                                                            パンデミックの影響もあってか昨今はひとつの街に属さず離れて暮らすバンドも増えてきた。だがスーパーオーガニズムのように国境をも超えているバンドは多くはない。そもそもスーパーオーガニズムはそれ以前の世界から、それ以後の世界で当たり前になったような感覚を持って活動していたのだ。ロンドンに暮らすイギリス人のハリー、ニュージーランド出身のトゥーカン、ビー、オーストラリアに住む韓国人ソウル、日本人のオロノ、多国籍なスーパーオーガニズムにどこの国、あるいはどこの街のバンドなのかと尋ねたら果たしてどんな答えが返ってきたのだろう? 答えなんてなくとももうこの状態が物語っている。スーパーオーガニズムはどこからでもアクセス可能な世界の中に存在していて、その場所は手紙を送ろうなんて考えが浮かばないくらいに近くにある。そんな古くてありふれたインターネットの幻想がもう当たり前のものとしてここに存在している。2017年

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                                                            • Jeff Mills | ele-king

                                                              このコロナ禍、まったく沈黙することなく作品をばんばん積極的に発表しているジェフ・ミルズが今度は雑誌を創刊した。タイトルは『The Escape Velocity(脱出速度)』(https://ziniy.com/newsstand/edition/509)。 ご覧の通り、デザインもかなり凝っているこの雑誌(表紙はアブカディム・ハック)、ジェフが興味を持っているミュージシャンのインタヴュー記事がメインだが、写真家のインタヴューやSF小説のコラムもある。そのほとんどはジェフ・ミルズが取材し、ジェフ・ミルズが書いている。質問もジェフらしく、未来についての話が目につく。 テクノDJ/プロデューサーが多いが、サン・ラー・アーケストラの女性メンバー、June Tysonのインタヴュー記事もある。 なかなか他では読めないものばかりで、日本のファンにもgoogle翻訳を使って読んで欲しいとのこと。ただ、挨

                                                                Jeff Mills | ele-king
                                                              • RC SUCCESSION | ele-king

                                                                RCサクセションとはコンセプトではない。それが良いか悪いかでもない、それはただ基本だった。ゴールにボールが入れば1点、フィールドプレイヤーが手を使ったら反則、RCとはそういう次元のものだった。 あらゆるものが詰まっていた。初期のロックやポップ・ミュージックといったもので見られる夢の、その後否定されるべきものも含むおおよそすべて。エゴ、愛、セックス、ドラッグ、反抗、自由、怒り、疎外感、虚無、別れ、悲しみ、反体制、理想、成長……そういったもの。 また、日本も嫌だしアメリカも嫌だしという、はっぴいえんど以降の日本のロック/ポップスが無意識にせよ模索し独創したアイデンティティの更新を、このバンドはたったひと言の「イエー」や「ベイビー」などという、じつにバカっぽい言葉の威力でやってしまった。痛快という言葉は彼らのためにあった。 世の中に疑問を持った若者がいる。性欲も好奇心もギラギラしている。そういう

                                                                  RC SUCCESSION | ele-king
                                                                • Amazon.co.jp: くたばれインターネット (ele-king books): ジャレットコベック (著), 浅倉卓弥 (翻訳): 本

                                                                    Amazon.co.jp: くたばれインターネット (ele-king books): ジャレットコベック (著), 浅倉卓弥 (翻訳): 本
                                                                  • yeule - softscars | ユール | ele-king

                                                                    ある一定の世代──具体的には平成初期から中頃あたりに生まれ育った、ぎりぎり “Z” の枠組みから漏れた層──の音楽的な原体験は、どちらかといえばオンライン上よりも「オフライン上の雑踏」にあったように思える。 それは、たとえばレンタルビデオ屋の片隅であったり、大型古本チェーンのワゴン棚や中古CDショップ、あるいはファストフード店の有線放送などの、日本のごく一般的な日常を彩る風景の一部に溶け込んでいた音楽体験である。もしくは、平日夕方にティーンエイジャーが自らの激情を未熟なりに、自由気ままにぶつける貸スタジオやライヴ・ハウスの風景だとか、電車に独り佇む少し大人びた少年のイヤホンから鳴る音漏れだとか。 封切りから約5年が経過した「mid90s」ではなく、いわば「late90s」あるいは「early00s」あたりの時期、そんな「かつてあった日々」へのノスタルジアを強く想起させられるような作品が、ど

                                                                      yeule - softscars | ユール | ele-king
                                                                    • black midi | ele-king

                                                                      聞いてくれ! といがらっぽい声でのたもうたのち、作中人物になりかわったジョーディ・グリープは月光のもと愛の甘いささきがながれ、オートバイが柔らかいエンジン音をたて、風土病がはびこり、緑のテーブルに土産物がのった赤い部屋のある歓楽街への上力をみとめ、戦争のなんたるかをのべる――ファースト・シングル“Welcome To Hell”のいささか、というかまいどながらシュルレアリスティックな舞台設定に伏在し、サウンドに共鳴し合うものが前作から1年というみじかいスパンでのリリースとなるブラック・ミディの3作目『Hellfire』の構えをさだめている。“Hellfire=地獄の業火”の表題はそこであたかも禍々しい阿鼻叫喚をくりひろげるようでいて、グリープはおそらく種々のハードコアやエクストリーム・ミュージックがむかいがちなリニアな志向性とは似て非なる多義的な含意をタイトルにこめている。むろん圧力は低く

                                                                        black midi | ele-king
                                                                      • interview with Danny Brown | ele-king

                                                                        2023年にリリースされたJPEGMAFIAとの共作『Scaring The Hoes』でのぶっ飛んだ活躍も記憶に新しい我らのダニー・ブラウンが、最新作『Quaranta』をリリースした。 2012年の出世作『XXX』の衝撃──特徴的な甲高い声、露悪的だがユーモアに溢れるリリック、ヒップホップ然としたブレイクビーツからエレクトリックでアヴァンギャルドなビートまで乗りこなす変幻自在のフロウの渾然一体を耳にして、得体の知れないヤバいブツが現れちまった! と直感したときのあの興奮——から約十年、唯一無二のラップのスタイルやヴィジュアル、そしてそのキャラクターによって、彼はヒップホップのオルタナティヴな可能性を拡張し続けてきた。しかも彼のスタイルがスゴいのは、アヴァンギャルドであると同時にポップさを持ち合わせていることだ。 ラッパーにとって、キャラクターは非常に重要な要素なのは言うまでもない。いく

                                                                          interview with Danny Brown | ele-king
                                                                        • interview with Toru Hashimoto | ele-king

                                                                          ■橋本さんの拠点は渋谷のイメージがありますが、渋谷だったのはなぜでしょう? 橋本:もともと駒沢で生まれ育って、就職して出版社時代は2年半目白にいて、フリーランスになって渋谷に来ました。会社を辞めるタイミングでCISCOのすぐそばに引っ越したんですね。その後そこが手狭になってカフェ・アプレミディを始める99年のタイミングで公園通りの渋谷ホームズへ移って。だから90年代後半は15秒でCISCOにレコードを買いに行って、オルガンバーでDJやって、30秒で家に帰ってくるみたいな生活(笑)。(当時編集長を務めていたタワーレコードのフリーマガジン)『bounce』の編集部までも5分かからない感じ。でもなぜ渋谷だったのかというと、やっぱりレコード屋がたくさんあって近かったからでしょうね。 ■「Free Soul」を手がけたりコンパイラー生活を続けていくなかで、印象に残った事件や出来事があれば教えてくださ

                                                                            interview with Toru Hashimoto | ele-king
                                                                          • METAMORPHOSE ’23 | ele-king

                                                                            伝説のオールナイト野外パーティ。レイヴ・カルチャーの流れをくむ音楽フェス。ギャラクシー2ギャラクシーを筆頭に、これまで数々の名演が残されてきたという、個人的には一度も参加することのかなわなかったメタモルフォーゼが、11年ぶりの復活を果たした。 静岡県御殿場市の遊RUNパーク玉穂に到着したのは20時半過ぎころ。すでに終了した SOLAR STAGE の入口で受付をすませ、来た道を引き返す。けして都市部では味わえない、自然の闇。 夜の部 LUNAR STAGE の入り口。 しばらく歩くと、ポール棒がピラミッド型に組まれミラーボールがぶらさがっている。この小粋なゲートをくぐると右手に平地が広がり、先に大きな建造物が見える。雰囲気から推すに、たぶんもとは厩舎だろう。ここが夜の部、LUNAR STAGE の会場だ。なかをのぞくとダブリン出身ベルリン拠点のDJ/プロデューサー、マノ・レ・タフがプレイし

                                                                              METAMORPHOSE ’23 | ele-king
                                                                            • interview with Kikagaku Moyo | ele-king

                                                                              5枚目のアルバム資料にさらりと綴った「最後の作品」の文字──2018年の4作目『マサナ寺院群』のそれまでの階梯を一段階昇りきったかのような充実ぶりと、それにつづくクルアンビン、コナン・モカシンらとジョイント、北米、欧州、北米、欧州、北米、豪州、欧州また米国とオセロのごとくつづくツアーの活況ぶりを知るものには先のいち文はにわかには信じがたい。「最後」というからには幾何学模様名義のスタジオ・アルバムは本作以降出ないということなのであろう。思えば、2013年高田馬場の路上に蝟集した若者たちの集合体としてはじまった幾何学模様は、既存のアシッド・ロック~サイケデリアのフィールドにおさまらない活動を模索するなかで、国内シーンを一足飛びに海外に活路をみいだすと、ほどなくその特異な音楽性と風貌で異彩をはなちはじめる。むろん止むことのないライヴの日々あったればこその評価だが、多国籍とも無国籍ともつかない折衷

                                                                                interview with Kikagaku Moyo | ele-king
                                                                              • R.I.P. Shane MacGowan | ele-king

                                                                                野田努 2002年の日韓ワールドカップのときのことだ。抽選でチケットの買えた試合が、横浜国際総合競技場(現・日産スタジアム)で行われたアイルランド・サウジアラビア戦だった。緑色のユニフォームを着た大勢のアイルランド人たちのほぼひとりひとりが、缶ビール500mlの6缶入りのパックを手にぶら下げて、あるいは、スタジオ周辺の道ばたで試合開始の数時間前から座って飲んでいる。道中にあった立ち食いそば屋も缶ビールを手にしたアイルランド人たちで占拠され、なかばパブと化していた。こうなれば頭のなかはザ・ポーグスだ。このバンドからはいくつかのアイルランド民謡を教えてもらった。“ウイスキー・イン・ザ・ジャー”、それから“アイリッシュ・ローバー”。初めてロンドンを訪れたときは、ソーホーを歩きながら“ソーホーの雨の夜”を思い出した。映画『ストレート・トゥ・ヘル』も忘れられない。ご多分に漏れず、クリスマスには何回も

                                                                                  R.I.P. Shane MacGowan | ele-king
                                                                                • Fiona Apple | ele-king

                                                                                  ローリーン・スカファリア監督・脚本の映画『ハスラーズ』は、ジェニファー・ロペスとフィオナ・アップルという、長く別の場所にいたはずのふたりの女性ポップ・スターを結びつけた作品であった。ニューヨークのストリップ・クラブの花形であるラモーナ(ロペス)が得意のポールダンスをカリズマティックに披露する、その登場シーンでアップルの “Criminal” が流れるのだ。“Criminal” は気だるげなアップルの歌がブルージーなピアノに絡む官能的な歌だが、そこでは男に対して加虐的に接してしまう女の罪悪感が吐露される。濁りを含んだピアノの打音、「自分を犯罪者のように感じてしまう、だから償いが必要」……。その歌が合図になり、『ハスラーズ』では出自や抱える事情が異なる女たちによる犯罪が始まる。ウォール街のクソ野郎たち、女たちを見くびってきた傲慢な男どもからカネを奪取するための。だけどそこには当然痛みや後ろめた

                                                                                    Fiona Apple | ele-king