靖国参拝をめぐる議論をみていると、いまだに「右か左か」といった冷戦時代の図式で論争が行なわれている。戦争とか国家とかいわれても、平和ボケの日本人がピンと来ないのはしかたがないが、最近の社会科学はこの点で大きく進歩した。安倍首相を初めとする政治家のみなさんには、正月休みにここにあげた本のうち1冊ぐらい読んでほしい。特に1~3は必読である。 文明と戦争 政治の起源 失敗の本質 昭和陸軍の軌跡 未完のファシズム 言論統制 日本はなぜ開戦に踏み切ったか 一下級将校の見た帝国陸軍 Violence and Social Order 近衛文麿 1がのべるように、戦争の原因は暴力の非対称性であり、それをなくすことが国家の本質的な役割だ。近代最長の平和を実現したのは「平和主義」をとなえる左翼ではなく、核兵器の均衡だった。そして2も論じるように、戦争が「国のかたち」を決める。最終決定者のいない明治国家は、戦