突然の死が招き寄せる喪失感。無骨な夫・石橋蓮司は路頭に迷い、娘・永作博美は浮気した亭主を置いて実家に還る。重い空気を切り裂くのは、ロリータ少女・二階堂ふみと日系ブラジル青年・岡田将生。闖入者は温かな調味料になるだけでなく、家族をほぐし、「四十九日には大宴会を」という母の願いを叶えるべく物語は動き出す。 継子であり子宝に恵まれない女性の負い目が、通奏低音ではある。しかし孤立をことさらには捉えない。インサートされる後悔と愛惜の過去が独特のリズムを生む。静かに流れる「川」を日本人の死生観の象徴として捉え、陰影と余白の豊かな近藤龍人の撮影が美しい。終盤へ向かうほど煌めきを増す永作の表情の変化こそが、映画的ダイナミズムだ。 タナダユキは、原作のファンタジー色を排し、地に足の着いた姿を切り取る。血よりも縁。他者とのゆるやかなつながりでも、人は無上の癒しを得る。これはマニュアルなき少子高齢化の現実を生き