「四度の手術で私が得たこと、それは人間は所詮肉の塊であるという感覚だろうか」 「私のように意志ばかり肥大させて生きてきたような人間には、それはちょうど良い体験だったのかもしれない」 これは、著者自身の乳癌の闘病記の本である『身体のいいなり』(朝日文庫)からの引用だ。 身体のいいなり (朝日文庫) 作者: 内澤旬子 出版社/メーカー: 朝日新聞出版 発売日: 2013/08/07 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (7件) を見る あれこれ、自分の個性だの、自我だの考えて生きてきたが、病院で身ぐるみを剥がされて幾度物手術で物のように扱われる中で、人間は所詮肉の塊に過ぎないんだなと実感したそうだ。 これは悟りの境地といえよう。ここまで達観した気持ちになれたのは、乳癌という重い病気を抱えて戦ったからであり、僕にはその言葉の意味の深い部分まで理解することは出来ないであろう。 だが、これと似た