関志雄『中国を動かす経済学者たち』(東洋経済新報社)を読みました。 個人的に興味深い著作。関先生には一度この本で取り上げられている経済学者の入手の難しい論文を送っていただいたことがありました。たぶん中国経済学史?を日本で興味を抱いてるのは、ごく少数のメンバーなので本書が一般に出た意義は大きいと思います。もっとも学史というにはあまりにも現代史すぎるのですが。 本書に収録されている改革開放以来の経済論戦年表は、中国の経済発展に伴う問題の縮図であり、経済発展の初期段階(所有制度や市場化の問題)から成熟化(市場経済の問題=経済格差など)までの論点を一望できる。本書によれば、現在の中国経済学界は、「新左派」=平等重視vs「新自由主義者」=効率性重視として論争の構図が描かれ、経済問題に関してはタブーなく議論されているという。ちなみに後者の「新自由主義者」が主流派だという。ただ経済と政治が不可分であり、