横浜市泉区の「いちょう団地」にあるベトナム料理店「サイゴン」。足を踏み入れると、香辛料とパクチーの香りが漂い、ベトナム語が飛び交う。まるで異国の空間。「ここには仲間がたくさんいる。居心地がいいよ」と、ベトナム出身の店主グエン・バン・トアさん(56)は笑顔を見せる。 泉区と大和市にまたがる団地は、全三千六百戸の二割が東南アジアなど外国人の世帯。グエンさんはホーチミン近郊の生まれだ。一九七五年のベトナム戦争終結時、社会の混乱で定職に就けないでいた。「無職だと次の戦争に行かされる」。敗北… [記事全文]