朔ユキ蔵『セルフ』 〈この年齢〔3〜4歳——引用者注〕の自慰(オナニー)は指しゃぶりとまったくおなじにかんがえればよい。指しゃぶりにたいして、気にせずにおきなさいというのには、母親は納得する。しかし、自慰にかんしては、いくら気にしなさるなといっても、母親は容易に納得しない。ことセックスにかんすると、おとなは平静でありえないようだ。だが、この年齢の自慰は、おとなのいうセックスとは無関係なのだ。それが容易に理解できないのは、子どものやっているのは自慰だと知ったときのショックが大きかったからであろう。 女の子のほうがはるかによくやる。はじめ、ふとんのなかで両脚をくみあわせて、力を入れて、まっかな顔をしているときは、母親は何のことかわからぬ。だが、腰をうごかしていたりすると、何であるかわかる。また、人のいない部屋で椅子の角の部分に、前を押しつけて、息をとめてまっかな顔をしているのをみつけると、自慰