オレンジの風船を追うフリをして君に近づく 深呼吸する (伊藤真也)
いままで作った歌を読み返すたびに、すごく良いと思って興奮したり、まるっきりダメだと思って意気消沈したりする。困った。こないだ寝入りばなに、画期的とも言えるもんのすごくいい感じの下の句七七がひらめいた。忘れようがないと思ったのでメモを取らずにそのまま寝た。起きたら忘れてた。がほーん。思い出せない。思い出すトリガーさえ見つからない。くやしいので、まるっきりダメなひらめきだったことにしようと思った。 つきたてのもち肌想い十五夜にぽんぽんぽぽん腹打ち鳴らす(伊藤真也) だからなんだと言われても困る。伝えたいことなんてなんにもない。夜中にがばと起きて思いつきを走り書きしても、まるで解読出来ない文字だったり、解読出来たとしても「手肌をいたわる」やら「町のごろつき」などといった『それで?』と言いたくなるようなものばかり。一体どうしろというのか。寝ても覚めても困ってばかりいる。
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