4位と3位とでは、なぜかくも違うものなのか。「なんで、こんな一段一段なんだろう」と涙した女子モーグルで4位にとどまった上村愛子にもらい泣きした身にとって、スピードスケート男子500メートルで長島圭一郎と加藤条治が獲得した2個のメダルはよりまぶしく見えた。 ▼勝負の神様は、いたずら好きでもある。早くから「天才」といわれ、脚光を浴びてきた加藤には銅を、遅咲きで雑草魂を感じさせる長島には銀を与えた。「銅メダルだったのは悔しい」と語る加藤はまだ25歳だ。同じ会社に所属する2人のライバル物語はまだまだ続きそうでワクワクする。 ▼メダル確定後、加藤は日の丸を背にリンクを滑り、喝采(かっさい)を浴びた。「腰パン」で有名になった国母クンは別にしても、国旗を背負う五輪選手の重圧は、凡人には計り知れないものがある。各国選手がそれぞれの国民の期待を、国旗という形で一身に担って真剣勝負を繰り広げるからこそ、五輪は