猛暑が続いた福島市も、朝夕はマンションのベランダに涼やかな秋風が吹き込むようになった。もっとも、自宅から約2キロ先の高線量エリア(ホットスポット)が風上では、と気になるが…(涙)。思えば、1年前の今ごろは、福島支局に赴任して間もなく、毎朝、吾妻山をのぞみながら阿武隈川や荒川のほとりを散歩していた。 「中通り」の他の都市と同じく、阿武隈川とともに発展してきた福島市は、盆地を囲む山々と川の流れに包まれた「公園都市」の風情がある。今回の放射能漏れで有名になった「渡利(わたり)」地区も、地元の人たちが「隈畔(わいはん)」と呼ぶ、静かな住宅街なのだ。 散歩の後、山からくんできた湧き水を楽しみ、おいしく朝食を食べていた日々が懐かしい。たった1年の福島生活でも寂しく思うのだから、地元で生まれ育った人たちが、平凡でも豊かだった日常を奪われた切なさは、言葉で語り尽くせないだろう。「中間貯蔵施設」は原発内に設