→紀伊國屋書店で購入 集合住宅での井戸端会議。悪口をいわれることを怖れ、そこに加わることを止められない「私」。いたって普通の主婦、と自らを見積もってみても、子供がいないため、まわりの〝母親〟たちとのやりとりに頷くそのさまはどうしてもぎこちなく、息苦しさはつのる一方である。 ないものねだり。要するに私は恵まれていて、その上暇なんだなあと思う。なんの不満もないけれども、現実逃避したい感じ。私は何から逃げているのだろう。わからない。だけど私は夫がいなくなると、忘れていた何かを思い出しそうになる。 「中の中くらい」の生活レベル。夫婦関係に問題はみあたらない。昼間することがなく、つい食べものを口にしてしまう「私」が太っても、夫は「きみは太っていてもかわいいよ。」と言ってくれる。落ち込んでいればやさしく声をかけてくれ、涙を流した目にキスしてくれる。けれども現状は、「私」の夫婦の理想からはかけ離れてしま