経済産業省原子力安全・保安院は12日夕、東京電力福島第1原子力発電所に設置した高濃度放射性物質を処理する浄化装置の試運転を13日にも始めると発表した。不具合が見つかったポンプなどの修理にメドが立ったため。試運転を5日間程度続け、17~18日に本格稼働する。本格稼働が当初の予定より数日遅れるものの、汚染水の移送先を新たに確保したため、汚染水がすぐに海へあふれ出る恐れはないとしている。東電は12日
◇「実は注水を中断していなかった」 猫の目のように変わる事実関係、発表者によって食い違う説明、データの公表遅れ--。事故後3カ月間の情報公開は「悪い見本」のオンパレードだった。 事実関係が二転三転し、責任をめぐって国会を巻き込む騒動になった1号機への「海水注入問題」が決着を見たきっかけは、吉田昌郎(まさお)・福島第1原発所長の「実は注水を中断していなかった」という一言だった。この事実は本店さえ知らされておらず、東電内部のガバナンス(統治)の未熟さを浮き彫りにした。 吉田所長は、事実を明かした理由について「新聞や国会等で議論になって話題になっているので、もう一回よく考えてみた。IAEAの調査団も来ているし、事故の評価・解析は正しい事実に基づいて行われるべきだ」と本店に対して話したという。しかし、5月20日に本店が「海水注入が55分間中断した」と発表してから、真実が明らかになる26日までの約1
原発に津波が押し寄せた瞬間を、集中廃棄物処理施設4階から東電関連会社社員が撮影した=東電提供<1>午後3時42分、海抜10メートルの敷地で浸水開始 事故収束に向けた大きな障害の一つが、放射性物質に汚染された大量の水だ。原子炉建屋とタービン建屋の地下や建屋外のトンネルに滞留している汚染水は、5月末現在で10万5100立方メートル(1~4号機と集中廃棄物処理施設)。標準的な50メートルプール(長さ50メートル、幅20メートル、深さ1・5メートル)約70個分に及ぶ。なぜこのような事態に陥ったのか。 福島第1原発のような沸騰水型軽水炉では、原子炉内で核分裂反応を起こして水を沸騰させ、約280度の蒸気でタービンを回転させ、発電する。蒸気は復水器で冷やされて水に戻った後、再び原子炉へ送られる。トラブルで原子炉内の水がなくなれば、熱を発し続ける燃料棒は過熱し、溶け始める。大半の燃料が溶けて「棒」の形を維
東京電力福島第1原発の事故からまもなく3カ月。収束に向けた懸命の復旧作業は、大量の高濃度放射性汚染水や、爆発で飛散した放射性のがれきに阻まれ難航している。複数の原子炉が世界最悪の「レベル7」の深刻な状態に陥るという前代未聞の事態に政府や東電はどう対応したのか。混乱の3カ月を振り返る。 ◇過小評価、すべてが後手 「チェルノブイリ事故に匹敵する、あるいは超えるかもしれない事故になったことを重く受け止めている」 震災から1カ月以上たった4月12日午前、東京・内幸町の東京電力本店。松本純一原子力・立地本部長代理は会見で述べた。この日政府は1~3号機の事故を、原子力施設事故の深刻度を示す国際評価尺度(INES)で最も深刻なレベル7(暫定)に相当すると発表。レベル7は、史上最悪と言われた86年のチェルノブイリ原発事故(旧ソ連)しか前例がない。 日本ではそれまで、JCO臨界事故(99年、作業員2人が死亡
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く