いつも豆を買う焙煎コーヒーの店の袋が、アルミパックから透明のものになった。 「替えたんですね、袋」 豆が透けて見える袋も洒落ていた。なにげなく言ったワタシの言葉に、マスターは悪さを見つけられた子供のように頭をかいた。アルミパックと透明のものとでは、単価にして1円の開きがあるらしい。 「うちもねぇ、前のがいいのはわかっているんですけどね」 豆の仕入れ値が高騰したぶんを販売価格にスライドさせるわけにもいかず、苦肉の策らしい。1円ではあるが、1000袋まとまれば1000円の差額。必要不可欠なものだけにバカにはできない。ほかにも、配送の箱が20円安いところを探しあてたとか、マスターがコストダウンのあれこれについて話しはじめたらとまらなくなってしまった。 前置きはこのくらいにして、本題だ。牛肉にタマネギ、タレにご飯。お茶・割り箸・紅生姜などを合わせた牛丼チェーンの、一杯あたりの原価は〆て175.4円