福島第1原子力発電所の事故に対する国際評価尺度(INES)が、急遽(きゅうきょ)「深刻な事故」とされる「レベル7」に引き上げられた。経済産業省の原子力安全・保安院が、内閣府の原子力安全委員会の見解などを踏まえて発表した。暫定評価とはいえ、レベル7の意味は非常に重い。 INESの基準で最も重いレベルに相当するだけでなく、25年前に起きた史上最悪のチェルノブイリ原発事故とも並ぶからだ。日本政府の発表によって、世界の抱く福島事故の印象は、チェルノブイリ事故と完全に二重写しになって焼き付いてしまう。 ≪保安院の発表には矛盾≫ 菅直人政権は、レベル7評価の及ぼす影響を理解していないのではないか。事故の実態を国際社会に正しく伝え、誤解を是正していく活動に直ちに取りかからなければならない。 保安院の発表には矛盾がある。福島事故で放出された放射性物質の量は、チェルノブイリの10分の1に過ぎないと認めている
≪ノモンハンに似る福島の戦い≫ 1939年に、満州国(現在の中国東北部)・モンゴル国境のノモンハンで、日本の関東軍と旧ソ連軍が戦った。双方とも2万余の死傷者を出して停戦になったが、ソ連軍指揮官のジューコフ将軍は敵の日本軍について、「下士官兵は優秀、下級将校は普通、上級幹部は愚劣」と評した。 この“3段階評価”は、戦後の日本社会にもあてはまりそうだと考えていたが、今回の東日本大震災、なかでも福島第1原発事故への対処過程を眺めていて、さらにその思いを強くした。 ノモンハン事件は、山中峯太郎著の標題を借りると、「鉄と肉」との戦いだった。第一線の兵士たちはソ連軍戦車に対し、ガソリンをつめたビール瓶(火炎瓶)の肉薄攻撃で対抗した。昼は40度、夜は氷点下の大草原にスコップで掘った壕に潜み、食料も水も弾薬の補給も途切れがちの過酷な環境で全滅するまで戦い抜く。 新聞やテレビなどの報道によると、福島第1原発
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く