ニューヨーク州中北西部にあるウィラード精神病院に入院する患者は、身の回りのものを詰め込んだスーツケースたった1つだけを携えてその中へ入って行く。 患者の多くは2度と外に出ることができない。平均的な入院期間は30年だ。患者が亡くなると、通りの反対側にある名もなき墓に埋葬される。そして、残されたスーツケースは屋根裏部屋に収納され、やがて忘れ去られてゆくのだ。 1995年、ここに勤務する職員が1910〜1960年の間に保管された400個ものスーツケースを発見した。写真家のジョン・クリスピン氏がその中身と、社会に歓迎されることのなかった人々の心を捉えた。 ■1.退役軍人フランク・Cの所持品 ニューヨーク、ブルックリン出身の退役軍人フランク・Cの所持品。裁縫セット、クシなどの身だしなみ道具、玩具のピストル、パンの配給カードがある。自分や家族の写真も持っていた。 極めて保存状態がいいフランク・Cの制服
![精神病棟で生涯を過ごした患者が残したスーツケースの中身(米ニューヨーク) : カラパイア](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/fa4ad4334808ef72f2e4528cdaf78ac2d19c30fc/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Flivedoor.blogimg.jp%2Fkarapaia_zaeega%2Fimgs%2F2%2Fe%2F2e341f62.jpg)