【ワシントン=佐々木類】東日本大震災に伴う福島第1原発事故で、米政府は啓蒙(けいもう)活動の一環として、地震や津波に加え、放射能被害に関する心的ケアをまとめた手引書を作成、日本語への翻訳を進めている。米国が精神医療面からも日本支援に乗りだした形だ。専門家は放射能被害に対する心的ストレスに着目、「根拠のない恐怖心こそ、心身の悪化を招く原因」と警鐘を鳴らしている。 米保健福祉省の薬物乱用・精神衛生管理庁(SAMHSA)が地震、津波、原発事故に伴う放射能被害に関する官学組織の論文や助言集をネット上に集約したもので、地震発生直後の3月中旬に作成に着手、このほど完成した。 日本では災害や重大事故後に発症する心的外傷後ストレス障害(PTSD)に関する研究は盛んだが、放射能被害への心的ケアは手薄だ。このため、誤った知識や情報によるパニック防止の観点から、在日米国人と日本人向けに対処策を盛り込んだのが特徴