72年の沖縄返還の際に、米国の短波放送「アメリカの声(VOA)」の施設移転費1600万ドルを日本が負担するとした日米間の「密約」の内容を、米側が73年に韓国に伝えていたことが分かった。韓国外務省(現外交通商省)が当時作成した記録を、大阪市立大の小林聡明研究員(メディア史)が発見した。 日本政府が一貫して否定している沖縄返還に伴う費用負担をめぐる密約の存在が、韓国の史料でも裏付けられた形。作家の澤地久枝さんらによる、沖縄密約の情報公開訴訟にも影響しそうだ。 見つかったのは、73年5月31日、韓国外務省の張セン(王へんに宣)燮・北米1課長が在韓米国公報院のスミス院長と会談した際の記録。韓国外交史料館に保管されていた。在韓米国公報院は、VOAを運用していた米広報文化交流局(USIA)の出先機関だった。 当時米国は、VOAの移転先に韓国を検討していた。記録によると、スミス氏は韓国側から移転費