惑う星 作者:リチャード・パワーズ新潮社Amazonこの『惑う星』は、『舞踏会へ向かう三人の農夫』、『われらが歌う時』などでしられるリチャード・パワーズの最新作だ。近年、パワーズの著作は、危機に瀕した地球の生態系を救うために動き出した、特異な才能を持った9人の人生を描き出す『オーバーストーリー』を筆頭に、SF的なテーマへと果敢に挑んできた。 それに続く本作『惑う星』は、宇宙生物学に関する研究者の父親シーオと、医師から自閉症スペクトラム障害、ADHD、強迫性障害など様々な可能性を示唆された息子ロビンの行末を描き出していく長篇小説だ。母親は動物愛護を訴える活動家だったが、数年前に事故死。残された父はこの宇宙にどれほどの生命がいる可能性があるのかをロビンに語って聞かせ、ロビンも父親に無数の質問をして、対話を続けている。 たとえば、この宇宙に惑星の数はいくつあるのかとロビンは問う。父親はおそらくど
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